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「七湖都。着物を買いに行かないか」
ある日の放課後。
予測を終えた一夜崎・一夜(高校生エクスブレイン・dn0023)が、とうとつに七湖都・さかな(終の境界・dn0116)に声をかけた。
「…………着物、高い」
さかなはゆっくり首をふり拒否するも、一夜は一枚のチラシを手渡し、続ける。
「京都の町屋を貸しきって、きもの市が催されるらしい」
チラシには、普段着着物を広めたい『売り手』と『買い手』が集う、ちょっとした交流イベント、と書かれている。
「主催者の方針で、高級着物はいっさい置いていない。あるのはすべて、『売り手』が用意した品だけだ。すべて手作りとなるため、うまくすれば数千円で一式がそろうぞ」
要するに、催されるのは『ファブリック着物』のフリーマーケットだ。
ならぶ着物はどれも洋服生地で仕立てられているため、通常の着物にくらべ色柄の選択肢が幅ひろく、売り手ごとに作品傾向が違う。
数ある着物のなかから、自分だけの一着をさがす楽しみもあるだろう。
「なにより、洋服生地なので家で洗濯することもできる」
扱いが手軽なため、着物がはじめてという者も挑戦しやすい。
また、『売り手』は着物だけでなく、装身具や小物などを販売することもできる。
ものづくりが得意な者にとっても、良い経験の場となるはずだ。
日時は、次の休日。
場所は、京都の町家にて。
「眺めていれば、気になる着物のひとつやふたつ、見つかるかもしれないぞ?」
一夜は辛抱強く誘うものの、服装に無頓着な少女は沈黙するばかり。
「まあ七湖都は、興味ないか」
ぼさぼさ頭のショートカットをぽんと撫でると、「ほかをあたるよ」と背を向け、去って行く。
さかなは遠ざかる背を見送り、もう一度チラシを見やり、気づいた。
(「この日。たしか、一夜の誕生日」)
さかなには、ひとの心の機微などわからないけれど。
あのエクスブレインが、自分のことより、灼滅者のことばかり考えているのは、なんとなくわかった。
――たぶん、今回も。
さかなはもう一度チラシを読みなおすと、
「……ん」
きもの市に興味のありそうな者を探すべく、教室をあとにした。
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「手ごろな値段で買い物をしても、新幹線や飛行機では、割高になるだろう?」
旅は道連れと喜ぶ一夜(dn0023)に率いられ、夜行バスで早朝に京都入りした生徒たちは、朝食の後、会場となる町家へ向かった。
会場にはファブリック着物の愛好家たちが集まり、すでに賑わいはじめている。
長時間のバス移動による疲労もなんのその。
買い手はもちろん、売り手たちも意気揚々と店を広げはじめた。
「一夜崎、おめでとう!」
声に振りかえれば供助(d03292)の姿。
「ありがとう」と礼を告げ、一夜は店にならぶ花や鳥をあしらった華やかな帯に目を留める。
「森田が仕立てたのか」
「洋服地で単色なら、こういう帯合わせても楽しいよな」
「あ、一夜くん! お誕生日おめでとう!」
見れば、両手いっぱいに荷物を抱えた千巻(d00396)の姿。
「……もう、そんなに買ったのか」
「後悔先に立たず! 今日は、お財布のことは気にせず買うって決めたの!」
千巻は供助の作ったがま口バックや小鳥の帯留めにも手を伸ばし、これカワイイ!と歓声をあげる。
「あーもぅ! どれもこれも気になるっ!」
「着物も小物も、気に入ったものを身に着けるのがなによりだ」
「そういえば、さわたみさんも来てるんだっけ」と供助が呟くのへ、
「澤村なら、向こうで見かけたよ」
「あとで挨拶に行くつもりだから、よければ一緒に」と声をかけ、一夜は次の店へ。
少し歩くと、千代(d05646)が店を出している。
「一夜先輩、さかなちゃんいらっしゃい!」
「鳴神は、買い手だとばかり思っていた」
意外だと一夜が告げれば、
「こう見えて、手先は器用なんだよ!」
手作りの帯飾りを、色々と見せてくれた。
さかな(dn0116)には、青いビーズに雪の結晶を添えた品を。
一夜には、ちりめん生地で作ったカエルの品を。
「……きら、きら」
すっかり魅入っているさかなを見かね、問いかける。
「二つもらおう。いくらだ?」
「あ、お代は要らないよ! いつもお世話になっているお礼だからね!」
「一夜先輩、お誕生日おめでと!」と、千代が微笑む。
「すまない。ありがたく、頂戴する」
一夜はカエルをそっと手の内に包み、静かに目を細めた。
「人が、人がいっぱいだ……!」
会場を行き交う買い手たちを見やり、心日(d18819)の瞳が大きく輝く。
一緒に店をだした蓮二(d03879)を見やれば、
「いらっしゃいませー!」
と、元気に呼びこみ中。
心日は父親の言葉を想い出し、蓮二をまねて笑顔で声をはりあげた。
「いらっしゃいませ! いらっしゃいませー!」
「色々なものがあって、目移りしてしまいそうですね」
足を止めたのは、着物に合わせる小物を探していた朱里(d00235)。
「おすすめの品はありますか?」
問われ、心日はうーんと首をひねる。
「お、こんなのいいんじゃない? さらに可愛く見える!」
一緒に悩んでいた蓮二が、桜細工のかんざしと、夜闇に花弁を散らした漆の櫛を添えて提案。
そこへ、髪飾りを探していた柚羽(d13017)が通りかかった。
店先に並んでいたつまみ細工の愛らしさに微笑み、とくに目を惹いた白睡蓮の飾りを覗きこむ。
「この髪飾り、お姉さんにすごくにあうよ!」
すかさず心日が声をかければ、
(「今の時期に、合うでしょうか?」)
柚羽はしばし悩み、すぐに、好きな時に楽しめば良いと思い直す。
「これをお願いします」
髪飾りを、小さな店員さんへ。
「会計は理系の俺に任せろ!」
蓮二が丁寧に清算するあいだに、心日がこころをこめて睡蓮を包む。
柚羽は手渡された包みを両手で持ち、
「いい物を見つけられました」
ほっこりと、微笑んだ。
「「ありがとうございましたー!」」
心日と蓮二。2人の声が、きもちよく重なった。
この日、武蔵坂学園の出店で、もっとも繁盛したのは瑞樹(d02532)の店だった。
男性物を中心とした品ぞろえが、客の需要に合ったのだ。
「男物の着物って、どのようなものがあるのでしょうかねぇ……?」
着物のことはさっぱりという流希(d10975)の言葉に、
「うちのはだいたい横幅M。丈が2L~3L仕様。『高身長だけど細身体型』対象だけど、色々あるから見てってよ」
と、お勧めの着物を案内する。
「どの商品も素敵だね」
同じく着物を探していたギルドール(d10454)が、気に入った品を手に瑞樹へ問いかける。
「これ、着てみても良い?」
「もちろん。簡単になるけど、丈詰めもできるから」
快諾され、袖を通せば洋服を着ている感覚に近い。
本来は本物嗜好だけれど、たまにはこういうのも良いかもしれない。
「これに合う小物とか、選んでもらえるのかな?」
こうなったら一式揃えようかと、他の品にも目を向ける。
そこへ、他店で作務衣を買いこんだ一都(d01565)が通りかかった。
「寒いから半纏も欲しいんですよね。作務衣と色の合わせがよくなるように。あとは巾着とか根付とか――あっ、この着物欲しい!」
瑞樹の店先に置かれていた着物を手に取り、即決。
ギルドールと一緒になって、揃いの巾着など一式を揃えにかかる。
「女性向けの着物は、扱っていますか?」
瑞樹へ向け、型紙を探しているのだと告げたのは優歌(d20897)。
「今日は持ち合わせがないけど、着物も、型紙も、作り方は知ってるよ」
母親が縫うのを見て育ったのだ。
多少は、心得たもの。
「よろしければ、ぜひ教えてください」
優歌は和裁を通じて交流ができればと、微笑んだ。
「着流しの予備を買わないとなー」
ぼやきながら会場を歩くのは、大輔(d24342)。
自分に合うような着流しや着物を、と思っていると、視線の先に光明(d07159)の姿が見えた。
光明が神妙な表情で眺めるのは、老舗の反物屋が広げる店先。
高級着物は並べていないが、
「洋生地とはいえ、縫い目も、柄の処理も、申し分ありませんね」
ひとまず小物を買い求め、後日改めて仕立てに訪れたいと店主に告げる。
「あとは、刃に合いそうな物があると良いんだけどな」
光明は恋人への贈り物を探しに、再び、ひとごみに紛れた。
また別の場所では、みをき(d00125)がひとり会場を彷徨う。
求める品は、男物の羽織。
色も、柄も。思い描くものが、すでに脳裏にある。
理想の品など、そうそう見つかるものではないと、わかっているけれど。
――此処なら、見つかる気がして。
「あった……!」
視界に飛びこんできた、望み通りの薄藤色。
大胆な花柄が、裾まで艶やかに咲きほこる。
「贈り物に」
告げる声が弾み、これならきっと似合う。喜んでくれると確信する。
「……褒めて、くれるだろうか」
柔らかな包みを腕に抱き、喪った『しあわせ』に、浸った。
●
「悪いねぇ。付きあってもらっちゃってさ」
楽しげに勇弥(d02311)を連れまわすのは、さくらえ(d02131)。
着もの市は初めてという勇弥は、着物はもちろん、京町家を眺めるのも楽しいと言う。
「ね、これとか似合う?」
「お、可愛いんじゃないか、それ」
つられて物色しはじめた勇弥へ、さくらえが2つの着物を手に近づく。
「どっち似合うか、当ててもらってもいいかな? 着せ替えとりさん♪」
「着せ替え、言うなっ!」
いつぞやの黒歴史を思いだして焦るも、
「心配しなくても、普通に似合うヤツ選んだげるからさ♪」
さくらの手にした着物は、確かに気になる。
「……今日だけだからな」
嘆息し、勇弥はしぶしぶ試着室へ向かった。
店から店へ飛び交うのは華凜(d04617)と紡(d08568)。
紡はそばにある一着に惹かれ、手を伸べる。
ふりそそぐ陽の色に、やわらかな春色の花。
――なんだか、春を纏う気持ちになれそう。
「どう、かな?」
「わぁ……! とっても素敵、です」
華凜はまるでお日様の精のよう、と目を細める。
その華凜が目に留めたのは、淡い菫に雪色の動物とレースをあしらった着物。
「どう、でしょうか?」
「菫の精を慕う可愛い子たち、ね。すごく、似合うの」
紡はまるで絵本のよう、と微笑む。
そろいの蝶の髪飾りは、紡が黒。華凛が白。
色違いの一対が、少女たちの髪で翅をやすめる。
「一緒に記念写真、撮ろうね」
頬を寄せあい、仲良くフィルムに収まった。
篝莉(d06051)と一姫(d15280)は、初めて一緒に出かけるこの日を楽しみにしていた。
「篝莉は、見たいものある?」
「かんざし……、かんざしが欲しいな」
「おっけ」
一姫が快諾し、すぐに、スペースいっぱいに手作りかんざしを並べた店を発見。
玉簪に花簪。思っていた以上の種類に、目を奪われる。
一姫は華やかに咲きほこる品を見定め、篝莉へ。
「これどう?」
篝莉はひとつひとつ手にとり、鏡を覗き、確かめる。
選んでくれた品はどれも愛らしく、なかなか、これと決められなくて。
「これは?」
やがてさしだされたのは、薄紫色のトンボ玉に白薔薇を閉じこめたひと挿し。
「可愛い……!」
ひと目みて、篝莉の表情がほころんだ。
聖人(d21427)と凪流(d21888)は、互いに着物を見立てあう約束だ。
「市松模様なんて、いかがかな?」
「……似合ってますか?」
凪流に勧められた着物を、聖人が身体にあてて見やる。
「類瀬さんには、やっぱりこの色が一番似合いますね」
聖人が凪流へ選んだのは、オレンジのチェック柄着物。
「大好きな色だよ。似合うって言ってくれて、嬉しい!」
あれもこれもと見比べて、お互い、無事に着物を購入。
「……良かったら、受け取ってください」
今日のお礼にと聖人がさしだした包みには、着物と同じ色柄のリボン。
「え、いいの?」
凪流は突然のことに戸惑いながらも、
「聖人くん、ありがとう!」
ふたり顔を見合わせ、頬を染めてはにかみあった。
憧れの日本文化の町並みと着物を前に、ナイリ(d22582)は年相応の無邪気さで会場を飛び交う。
「この色は? この柄は?」
次々に質問を投げかける少女を見やり、レナード(d21577)は来てよかったと心から思う。
熟考の末、ナイリが選んだのは、やはり和柄の一着で。
「こ……こっちの! まりのもようにします!」
「ほー、綺麗な柄選んだな」
レナードは売り手にたずね、着物に合うひと品を一緒に買い求め。
「いつか、着てるとこ見せてくれりゃ十分だから」
さし出されたかんざしを手に、ナイリは瞳を輝かせ、こくこくと頷く。
「忘れられない想い出が、できました」
はっきりと告げる少女に、レナードは小さく、微笑んだ。
●
今日が着物デビューというアストル(d08011)に手を引かれ、一浄(d00882)は数ある店を覗く。
「アストルはんは、どないなん着てみたい?」
「んー……」
色の海に目移りしているアストルへ、
「これ、アストルはんに似合いそうでっせ」
一浄は流れ星を散らした着物を手にとり、広げ見せる。
「わぁ、綺麗……!」
夜空を紡いだような生地に、一瞬でこころ奪われて。
「普段着にしてみたらどやろ? きっと皆、似合うて褒めてくれまっせ」
「僕も、イッチー先輩に似合うもの見つけたんだ」
そっとさし出されたのは、雪の中咲く椿の花。
「可愛らし匂ひ袋、おおきに」
着物と匂い袋、2つを買い求めて。
「次は、着物を来ておでかけしようね!」
はしゃぐ少年の手をとり【猪鹿蝶】参加者の姿を探せば、5人は見立てあいの真っ最中。
「んー……。これは悩む」
茶子(d02673)への品を探す狭霧(d00576)が目に留めたのは、黄梅咲く抹茶の着物。
帯は鮮やかな紅で、華やかさを添えて。
「鶯になった気分☆ 春が駆け足で来てくれそうだよ♪」
茶子が感激し、礼を述べる。
その茶子が選ぶのは、明(d11607)の一着。
「この、黒地に柄の着物はどう?」
だんだん家紋に見えてこない!?と勧めれば、
「確かに四つ目結に見える……ような気がしてきた」
「気に入った」と明が頷き、千早(d00895)への着物を選びにかかる。
ふと目に映った、鮮やかな紅の一着。
紅地に草花の刺繍が彩られた着物は、とても華やかで。
「これなら、殿宮の魅力を引き出してくれるのではないか?」
「紅……。千早振る、紅葉の色だな」
つぶやく脳裏に、川面を染める紅の情景が浮かぶ。
千早は「ありがとう」と礼を告げ、華丸(d02101)の見立てを続ける。
悩んだ末に選び取ったのは、グレーのグレンチェック柄着物。
「ザ・日本を体現してるお前だからな。英国紳士な装いも、意外性があって面白いかと」
鮮やかな帯や小物で飾ってくれと告げれば、
「今は、こんな着物があるんだな」
正統派生地では見られない柄を愛で、華丸はありがたく礼を述べた。
残る華丸が選ぶのは、狭霧への一着。
「狭霧はいっちょ、男らしい着物もいいんじゃね?」
広げ見せた濃紺地の着物には、裾と袖に白菊の柄。
帯は、薄い浅葱を選んだ。
「お前らしく、可愛らしさも添えとくか」
髪に白菊の髪留を挿せば、見立て完了。
――秋になったら、今日の旅行のコトを想い出して欲しい。
そんな願いを、菊の花にこめ。
5人は着物を身にまとい、京の町へ繰りだした。
一方別の場所では、
「わぁ! わぁ! キモノ、沢山!」
「着物はなかなか手をだせへんから、こうゆう市場ええねー!」
「綺麗なのたくさんあって、わくわくするね」
「可愛いのもいっぱいで悩むっす~」
「私に合う着物って、どれでしょう……」
【LCD】の少女たちが、着物を手にひたすら「かわいい!」を連呼していた。
5人は互いに意見を出しあい、各々のイメージを探る。
千聖(d13659)が選んだのは、カラフルな折鶴をあしらった品。
「帯は紺色で締めるのもよさそう」と、玖(d21526)がアドバイス。
玖が選んだのは、すこし大人っぽい紅藤色の品。
梅と蝶をあしらった柄は、『春和景明』な印象で。
「梅綻ぶ香りに誘われてしまいそう」と、ルミッカ(d22338)も微笑んだ。
そのルミッカが選んだのは、宵色に雪輪紋と扇を散らした一着。
「ルミ知ってる。こういうの、『オモムキがある』っていうですね」
「夜の銀世界が思い浮かんで……綺麗です」と、莉茉(d22592)もうっとり吐息をこぼし。
友達との買い物は初めてという莉茉は、皆の声をもとに萌黄の品を選んだ。
全体に白い花と矢羽根を散らし、「山笑う、春の景色が見えるよう」と紅葉(d22407)も絶賛だ。
「……たまにはちょっと、背伸びしてみるのもええよね」
紅葉は最後の最後まで迷って、モダン青緑生地の着物を選んだ。
「色合いがとっても綺麗だし、かっこいいなぁ」と、千聖が羨ましげにつぶやく。
「皆さんのお陰で、素敵な着物を手に入れられました」
「選んでくれて、どうもっすよ」
「全員個性が出てて、とってもいいなぁ~」
「次はこのお着物をきて、出かけましょうねっ」
「キモノで女子会、だいさんせい!」
買い求めた包みを大事に抱き、5人は次の計画へ向け、ふたたび意見を出しあった。
クラスメイトたちと会場を訪れたのは、【三鷹北中2年E組】の4人。
最初は自分に似合う着物なんて無いだろう、と思っていた識珂(d23386)だったが、
「ふ、ふーん。結構色んな種類があるのね」
「……すごい、こんなに安いんけ?」
会場にならぶ品の数と値段に圧倒され、想々(d23600)も驚きの声をあげる。
「皆は、着物って着たことありますか?」
着物は初めてという扶桑(d23635)が問えば、
「私は浴衣とか、小さい時くらいかな。あ、識珂さんはこういう大きめの柄でも着こなしそう!」
とつぜん想々が振り向き、見つけた着物を識珂へ。
『あの琥珀っぽい帯留、良い感じ貴方に似合いそう。(^ω^v』
メモワープロを手にしたクリミア(d23640)も、高速タイピングで小物をお勧め。
「私は……派手に挑戦する勇気ないし……」
想々の視線の先には、小物の帯が。
『あの帯、この帯紐に併せると上品な感じになるんじゃない?(’ ’ゞ』
すぐにクリミアが、品を探し、想々の元へ。
「せっかくだから、ボクも一つ買っていこうかな」
どんなのが良いと思います?と問う扶桑に、今度は自分が勧める番とばかりに、識珂が声を張りあげる。
「それなら、この着物を合わせてみるといいわっ」
「やっぱり、蝶の髪飾りだよね」
想々やクリミアも、一緒になって品を漁る。
目当ての品がそろった頃には、小腹がすきはじめて。
「帰りに、甘味処にでも寄って帰りたいわね?」
識珂の提案に、3人は並んで歩きはじめた。
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一夜は会場の端で、楽しげに行き交う灼滅者たちを眺めていた。
「なにか、気になる品はあったか?」
「……ん。一着だけ」
誘った当初は興味のなさそうだったさかなの言葉に、一夜が微笑む。
――誕生日など、あってないようなものだとばかり思っていたけれど。
(「今日は、良い一日だった。……皆、ありがとう」)
胸中でつぶやき、一夜はそっと、目を伏せる。
生徒たちは夕刻まで京都を満喫。
手にした宝物と想い出を胸に、ふたたびバスに乗りこみ、東京を目指す。
夜ともなれば、疲れた身体に心地よい眠りが訪れて。
やがて明日がくる、その時まで。
――どうか灼滅者たちに、おだやかな、『日常』を。
作者:西東西 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2014年1月29日
難度:簡単
参加:42人
結果:成功!
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