「そういえば、もうすぐ典ちゃんの誕生日ね」
なんかキラキラしている手帳をめくっていた黒鳥・湖太郎(黒鳥の魔法使い・dn0097)が、ふと顔を上げた。
「ええ、2月入るとすぐですからね」
春祭・典(高校生エクスブレイン・dn0058)が相変わらずスカした表情で答える。
「何かしましょうよ! アタシの時もしてもらったし。ねえ、典ちゃん、何かお誕生日にしたいことないの?」
「え、急に言われても……」
ちょっと考え込んだ典であったが、すぐに手をポンと叩き。
「そうだ! 皆さんにぜひお願いしたいことがあるんです……けど、うーん、結構大変だからなあ」
「何なに? おネエさんに言ってみなさいよ。遠慮しないでっ」
「……おネエさん」
一瞬引いた典であったが、お願いしたいことというのは以下の通りであった。
「僕、秋田出身じゃないですか」
「ええ、知ってるわ。こないだきりたんぽ頂いたし」
「横手にも親戚がいるんですけど……」
冬の横手市といえばかまくら祭。祭本番は2月中旬であるが、典の誕生日頃は祭に向けて大量のかまくらを作っている真っ最中なのだ。
「伯父がかまくら製作会に入ってるんですけど、ご多分に漏れず、その会にも高齢化の波が押し寄せてて、年々大変になってるんですって。ですので、灼滅者の皆さんにちょっくら横手まで行って、かまくら作りを手伝ってもらえるとありがたいなー……なんて」
「アラぁ、楽しそうじゃないの」
「夜になったら、作ったかまくらの中で、甘酒はもちろん、名物の焼きそばやきりたんぽ鍋程度のご褒美は出ると思うんですが……」
「アーラ、ますます素敵じゃないの!」
「でも、重労働ですよ? 降らない地方の人が思ってるより、雪って全然重たいんですから」
「だーいじょうぶよ、なんたってアタシたち灼滅者よ? 軽い軽い……さ、こうしちゃいられないわ」
湖太郎はいきなり立ち上がった。
「え、どうしました?」
「早速みんなに声をかけてくるわ。アタシ張り切って仕切っちゃうわよっ。典ちゃんは伯父さんに連絡しといてねっ。じゃ、また後で!」
「え? えええ? こんなんで決まりでいいんですかー!? 湖太郎さーん、参加者いねかったら、おめサとオラだけで手伝うことになってしまうスよー!?」
●工程1
灼滅者たちは、祭のメイン会場になる公園のかまくら作りを手伝うことになった。市内中から雪がかき集められた雪で、何十個ものかまくらが作られるのだ。
「うわ……真っ白……ふわふわ……」
「ほんまや……ふわふわ!」
【鉱石部】の青和・イチ(藍色夜灯・d08927)と、シグ・ノイキス(家庭的パニッシャー・d07997)は、かまくらのために集められた雪に、思いっきりダイブする。
「ひゃっほー! 冷たい-、楽しいー♪」
雪まみれになりながら、ふたりで雪をもふっては投げ上げる。普段縁の無い大雪に、ふたりともおおはしゃぎだ。とはいえイチはいつものように無表情ではあるが。
「ふっ、知らないっていいよね」
そんなふたりをほほえましく……というか、知らぬが花よね、的に苦笑して溜息を吐いたのは、水瀬・瑞樹(マリクの娘・d02532)。彼女は祖父母が山形なので、雪が楽しいだけのものではないことは良く知っている。
そんな瑞樹の視線を感じたのか、シグは、
「ハッ、俺は子供かっ」
我に返り、眼鏡を直してオホンとかいって。
「さ、力仕事、始めよかな」
初めてのスノーダンプを手に取る。
「俺も、これで、雪運ぶ……」
イチもスノーダンプをがっしりと掴む。やってみたくて仕方なかったのだ。
スノーダンプとは、大型の角型シャベルにパイプの持ち手が付いたような形状で、ソリのように雪を押して運ぶことが出来る除雪用具である。
「コツはね、腕だけじゃなく、全身使うことだよ」
よろよろしたり、雪を少々こぼしたりしながらも、瑞樹の指導を受けつつ製作場所まで雪を持っていくと、製作会のおっちゃんと久世・瑛(晶瑕・d06391)が待っていた。
すでにおっちゃんが瑛を助手に、棒とロープをコンパスのように使って、直径3.5mの円を描いてくれていた。
「雪を、この円の中にぎゅっぎゅっと積み上げればいいんですよね?」
しばし、イチとシグは雪運び、瑞樹と瑛は雪山作りに没頭する。最初は円の中に雪を積んでいくだけだからさほどでもないが、高くなるにつれしんどくなっていく。
「こう、投げ上げるとなると……ていっ」
それでも瑞樹はすでに高さ1m以上にもなっている雪山へと、ひょいひょいと上手にスコップを使って投げ上げる。
「明日筋肉痛覚悟しておいた方がいいかも」
「ですね……暑い。暑くなってきた……」
瑛ははぁはぁ言いながらスキーウェアの上着を脱ぎ。
「ああ疲れた……でも宴会目指して頑張らなきゃ……」
そこにイチがやはりはぁはぁ言いながら雪を運んできて。
「先輩、宴会目指してって……おっs」
「あ、青和さん、いいところに。ちょっとくろ丸さんだっこさせて……癒やされたい」
イチは疲れ果てている先輩のために、おっちゃんの見てないところで、そっと霊犬を出してやった。
【武蔵坂軽音部】の面々も、雪山作りに参加していた。
「おじさん、このスノーダンプ、借りていいッスか? 俺北海道出身なんで、このタイプが扱い慣れてるんですよ」
動きやすそうな防寒ジャケット姿の北条・葉月(我歌う故に我在り・d19495)は、製作会のスノーダンプを借り受けると、タッタカと軽い足取りで雪を運んでくる。
「よっしゃ、俺は積む係だな! 力仕事は任せてくれや!」
ザクっとスコップに雪を大盛りにし、普段ドラムで鍛えた体力を見せてやる! とばかりにMyスノボウェアで張り切っているのは、万事・錠(ベルヴェルク・d01615)。
「せいっ……こんな感じッスかね?」
あんちゃ(兄さん)スジがいいべ、と製作会のじいちゃんに褒められ、錠は調子に乗ってテンポ良く雪を積み上げていく。
「雪だるま作りたくなってきたけど、ガマン……っと!?」
錠の後ろ頭にいきなり雪玉がぶつけられた。
「何だよ!?」
見れば、真っ赤なスノーウェア姿の澤・紫苑(返り咲きのハートビート・d10392)が、ちんまりと雪を固めて作った椅子に腰掛けて。
「じっと座ってると寒いから、雪玉投げてみたの。私の細腕じゃ、重いもの持てないじゃない? 万事くんも北条くんも、私の分までしっかり働くのよー」
オホホホ、とお嬢様風に笑った。
「いいけどよ~」
ちょうど戻ってきていた葉月も苦笑して。
「ま、流石に力仕事させらんないし……倉澤、監督ヨロシクー」
山田・透流(自称雷神の生まれ変わり・d17836)は夢中で雪山を作っていた。先日北海道に行った際には、作り方がわからず断念したので、今回はやる気十分、テンションMAX! 時々こっそり怪力無双を使っちゃったりして、とにかく積み上げていく。
「よいしょ……よいしょ」
周辺の雪を根こそぎかき集める勢いだ。
「これがわたしの雪山……!」
あたりを睥睨するほどの雪山の上で、スコップを突き立て満足げに微笑む……と。
「嬢ちゃん! こんたに大きくしたら、掘るの大変だべ!?」
と、製作会のおっちゃんの声が下から聞こえてきて。
「あ、そっか」
透流はぺろっと舌を出した。
「さ……さすがに厚着しすぎましたかねぇ……」
重装備の紅羽・流希(挑戦者・d10975)は、大分大きくなった雪山の下、ぜえぜえ言いながらマフラーを外す。
「寒いところで体を動かすのは嫌いではないのですが……」
ついでに厚手のレインコートの上着も脱ぐ。
「わたしは……寒い」
隣で首を振りながら呟いたのは、久遠寺・凰軌(中学生ダンピール・d24570)。彼女は、冬制服にマフラーという軽装である。彼女は外の世界にまだ慣れていないので、防寒の見当がつかなかったのである。
「ああ、その服では寒そうですねぇ……そうだ、ちょっと大きいですけどねぇ」
流希は今脱いだレインコートの上着を凰軌に着せかけてやる。
「……あ、ありがとう?」
凰軌は不思議そうに礼を言う。流希はニコリとして、
「さ、体も温まりましたし、子供は風の子、はりきりましょうかねぇ……」
さて、その雪山の上では、
「ゆきゆきゆきやま、ぺたぺたぺったんこー♪」
羽柴・陽桜(ひだまりのうた・d01490)が歌いながら、投げ上げられる雪を均し、踏み固めていた。そこに、
「あ、典おにーちゃん、一緒にふみふみしよー!」
スコップをかついで通りかかった春祭・典(高校生エクスブレイン・dn0058)を誘う。
典はちょっと照れくさそうな顔をしたが、よっこらせと雪山に登った。
「ふう……」
作業が進むにつれ、不慣れな灼滅者だけでなく、製作会の人たちもそれなりに疲れを見せるようになる。しんどそうに腰を伸ばすじいちゃんを見て、風輪・優歌(ウェスタの乙女・d20897)は、
「おじいさん、ご一緒にストレッチしましょうか」
声をかけ、一緒に雪の上で体を伸ばす。
ESPストレッチを使っているし、女子高生に親切にされた嬉しさも相まって、効果覿面。
「お、何だか急に腰が軽くなったべや」
「それは良かったです」
優歌はじいちゃんに優しく手を貸しながら、
「伝統と楽しみを残し続ける……それは素晴らしいことですが、それも健康あってのこと。いつまでも健やかでいてくださいね」
●工程2
「よいしょっ……ねえ、おじいちゃん、おじいちゃん、どうやって雪こんなに堅く固めるの?」
雪山に穴を掘りながら【Salamander House】の己斐之原・百舌鳥(空鳴き・d10148)は、製作会のじいちゃんに尋ねた。
じいちゃんの言うことには、積んだ雪山を2~3日寝かせるのが大切なのだという。自重で締まる上に、日中の気温上昇によって溶けた雪山の表面が、夜の冷え込みで凍るのだ。気温によっては、表面に水をかけて凍らせて固めたりもする。
「なるほど、堅いはずだね!」
「堅いけど、俺はどんどん掘るよ! 力有り余ってマスんで!!」
元気よくスコップを振り上げているのは住矢・慧樹(クロスファイア・d04132)。
「皆で入るかまくらのためならエンヤーコラぁ!」
張り切ってガシガシと掘り進めていく。
「私は、あまり力は無いのですが……」
水瀬・ゆま(箱庭の空の果て・d09774)は2人と製作会のじいちゃんが掘り進めていく室内を、丁寧に移植ベラで整えている。
「出来ることは、一生懸命お手伝いしますね」
掘削中のかまくらの外では。
「あれっ? 雪ってふわふわだと思ってたのに、こんなに重いんだ?」
掘った雪を掻き出すアナスタシア・ケレンスキー(チェレステの瞳・d00044)が、驚きの声を上げていた。一度固めた雪なので、余計に重たいのだ。
無理すんでねえ、ちっとずつでええんだべ、と製作会のおっちゃんに言われたが、
「いつも運動してるから、このくらい大丈夫だよ! てえいっ!!」
元気に雪を押しやった。
「崩しちゃ不味いからな、慎重に掘らないと……っと。」
玖珂峰・煉夜(顧みぬ守願の駒刃・d00555)は、スコップを使い、丁寧に雪を掘り進めていく……が、自分の足下を見て。
「ちーと、薄着だったかな……というか、ロングコートはまずかったかな」
かまくら内部の作業だし、ロングコートに厚手の手袋をはめ、カイロも持っているのでそれほど寒くはないが、掘った雪が足下に溜まるので、すでにコートの裾は雪まみれで湿り重たくなっている。
「そっちは平気かい?」
傍らで、
「あ、あれ……思ったより意外と硬い?」
とか呟きつつも、ガッガッと熱心にスコップを振るっている七篠・誰歌(名無しの誰か・d00063)に尋ねると、
「作業自体すごく楽しいし、ちゃんと寒冷適応してるから大丈夫だ。でも、スカートはちょっと動きにくかったかもな」
モッズコートをめくると、その下はふわりとしたワンピース。その裾は煉夜のコートと同じように、足下の雪に濡れてしまっている。
「心配してくれてありがとうな」
誰歌は楽しそうに笑った。
「横手か。懐かしいな。んでもって相変わらず雪が酷いな……屋根さ積もった雪だば、凍ってるせいで固くて重くて寄せるのが大変で」
御統・玉兎(鳥辺野にかかる月・d00599)は幼少時を過ごした横手に帰ってきたせいか、微妙に秋田弁に戻りつつ作業を進めていた……と、そこに、
「ハアーイ、コーヒー持ってきたネ-、一休みスルネー! クリス、皆にコーヒー差し入れテルヨー!」
クリスティーナ・フェラツァーニ(高校生サウンドソルジャー・d13131)が、ポットとお尻をふりふりやってきた。とはいえ、今日の彼女は異様にモコモコのコートとパンツに埋まっていて、せっかくのナイスバディを拝むことはできない。今日の出で立ちは彼女独自の日本的設定キャラで、寒冷地局地戦用MS・IZA04 カマクラ(通称イザ・カマクラ)なんだそうである。
「やあ、ありがとう」
玉兎がポットを受け取ると、
「……ん?」
ポット全体が何だか生暖かい。
「これ、保温ポットだよな?」
「そデスヨー」
「どうして外側も温かいんだ?」
「ソレハネ、クリスここデ温メタネ、ヒデヨシト一緒ネ!」
クリステーィナはコートの胸元をガバッと開いた。豊かな胸の谷間でポットを温めながら来たらしい。
「お……おっと!」
玉兎は慌てて目を背けた。
●さあ宴会♪
日が落ちれば、いよいよお楽しみの宴会である。
【Salamander House】のメンバーは、自分たちで掘ったかまくらの中、お揃いの半纏でご満悦である。男子が青、女子が赤で、慧樹が用意したものだ。
「ふふ、ペアルックで本当に家族みたい……はい、どうぞ」
ゆまがお母さんのように、火鉢の上で湯気を立てるきりたんぽを取り分けながら楽しそうに笑う。彼女はレシピをもらって返ろうとも思っている。
「かまくらの中だと、特別な感じがしていつも以上に美味しく感じるね。食べ過ぎそうだよ」
アナスタシアは、やきそばの上の半熟目玉焼きを嬉しそうに崩している。
横手のやきそばは、太めのストレート麺を豚挽肉やキャベツと炒め、ウスターソースで味付けし、サニーサイドアップの目玉焼きと福神漬けという特徴的なトッピングを載せた、秋田を代表するB級グルメである。
「ペアルックって言い方だと、ちょっと照れるけど……本場のかまくらに本場のきりたんぽ……うん、美味しいなぁ。いつもと場所が違うだけなのに、味も気持ちもこんなに変わるなんて、本当に不思議」
百舌鳥も満足げに頷く。
「今年はしょっぱなから、命狙われたりイロイロあったけど」
慧樹がしみじみと言って、甘酒を手に取り、皆もそれに倣う。
「とりあえず、乾杯しようぜ。今年もよろしく! かんぱーい!」
「「「かんぱーい!!」」」
「いやー、本当動いたあとは飯が美味いってな♪」
勢いよく焼きそばを掻き込む煉夜に誰歌は小首を傾げ。
「煉夜は焼きそば好きなのか?……あ、はい、お茶どうぞ」
熱いお茶の入ったカップを手渡す。
「特別ってわけじゃないがね、結構食うぜ?……っと、ありがとう」
煉夜はお茶も美味しそうに啜り、その様子に誰歌は。
「(そういえば煉夜の好きなものって殆ど知らない、なにが好きなんだろう?)」
友人の様子を改めてじっと観察してみたり。
鉱石部員たちも、半纏姿できりたんぽと焼きそばを囲んでいる。
「お疲れ様でしたー、これからも仲良くしてくださいね」
シグが瑛にジュースを注いでもらいながら、
「あ、部長さんどーもおおきに、こちらこそ今後とも宜しくですよー」
瑛はマメマメしく部員の間をお酌して回っていたが、その手を休めて、天井を見上げ。
「それにしても、かまくらの中ってこんなに暖かいんだね!」
外は氷点下なのに、火鉢を置いていることもあり、かまくら内は10度ほどもありそうだ。
「でも、崩れないかちょっと心配……」
イチも、きりたんぽをつつきつつ天井を見上げる。
「大丈夫大丈夫、外がしっかり寒いからね」
瑞樹はやきそばを取り分けながら請け合う。
内部で少しくらい火を焚いてもかまくらが溶けない理由は、空気の断熱効果や、雪の融解熱がどうのこうのという理屈があるようだが、とりあえず先人の知恵は素晴らしい。
瑞樹はとろりとした黄身を麺に絡め、うっとりと。
「うーん、この焼きそばの目玉焼き、半熟の黄身が最高だと思うんだ!」
「さてと、あとは……」
典は雪の中ポクポクと歩き回り、参加者名簿をめくりつつ、各かまくらに顔を出して、今日のお礼と明日の帰京スケジュールを告げて回っていた。すると、
「典!」
「典おにーちゃん!」
呼び止める声が。
振り向くと、玉兎と陽桜が駆けてくるのが見えた。
「ささやかだが誕生日のプレゼントを用意した。いい一年になりますように」
玉兎が差し出した紙袋の中には、ケーキとマフラー、そして手鏡。
「わあ玉兎先輩……ありがとうございま……」
典はそこまで標準語で言いかけて、
「先輩、ありがとうございます。恐縮んだども、すげ嬉しッス」
秋田弁でお礼を言い直した。すると玉兎はニヤリと笑い。
「喜んでもらえで、いがった」
うふふ、と陽桜は楽しそうに笑うと、
「典おにーちゃん、陽桜はお歌のプレゼントしたいです!」
すうっと大きく息を吸って、
「は……」
早速歌い出そうとした。
「あ、ちょっと待って」
典は陽桜の口を抑えると、
「聞くのが2人だけじゃもったいないですからね」
口を抑えたまま、あるかまくらに近づいていく。玉兎も首を傾げながらついていく。そのかまくらからはシャンシャンと鳴り物の音が響き、一層賑やかだ。
「こんばんはー」
典が顔を突っ込むと、
「お、春祭、一緒にどうだ?」
葉月が手招いた。
やってきたのは【武蔵坂軽音部】のかまくらである。ちゃっかり黒鳥・湖太郎(黒鳥の魔法使い・dn0097)もお邪魔している。
「ほら、ちょっと狭くなるけど、3人ともお座りなさいよ」
紫苑も席を詰めてくれる。
「食べ足りなかったら、そこの男子2名のを分けてあげるし」
「あ、ありがとうございます、あの、それよりですね、陽桜さんが誕生祝いに歌ってくれるそうなので」
「おう、まかせろ。伴奏してやるぜ!」
錠がシャララ……と小気味よく持参のタンバリンを鳴らす。
「わーい!」
陽桜は嬉しそうに両手を挙げると、
「では歌いまーす! ♪Happy Birthday to You……」
陽桜の歌声は夜空に響き、隣近所のかまくらにも届く。
次第に声が集まっていき、いつしか全員の合唱になり……。
雪が降る、寒い夜でも。
いつでもかまくらは温かく、仲間の心も温かい。
作者:小鳥遊ちどり |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2014年2月3日
難度:簡単
参加:20人
結果:成功!
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得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 6/キャラが大事にされていた 1
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