「ふー。今日も充実した一日であった」
ひと気のない夜の公園を歩くのは静岡の浜松餃子怪人である。
「屋台手伝い、売り子、店の補修……大変だがこれでまた少し世界征服に近づいたはずだ。この後はアジトに戻って一服するか……ん?」
公園の中央に差し掛かったところで、奇妙な駆動音を耳が拾う。
「なんだ……この重々しい音は」
と、その時怪人の足下に巨大な影が広がった。
「ロードローラーッ!」
「ぬおぉっ!」
奇声とともに上空からばかでかいロードローラーが落ちてくる。
とっさに避けたが、すさまじい地鳴りと浴びせられるライトの光、そして眼前の巨体に言葉を失う。
「な、なんだお前はっ……」
「ロードローラーだぁっ♪」
ロードローラーは華麗なドリフトで方向転換するや否や、まっしぐらに怪人を轢き潰そうと迫ってくる。その勢いたるや猛烈の一言。
「ま、待て……やめろ、俺に何の恨みがっ!」
「待って待って~☆」
逃げ回る怪人の訴えにも聞く耳持たず、ただひたすらロードローラーと繰り返しながら、ついにロードローラーは怪人を捉える。
「う、うお、潰され……!」
「ロォォォドローラーッ!」
甲高い叫びと情けない悲鳴が重なり合った直後、ロードローラーの通り過ぎた後には、餃子頭からキャベツや肉をはみ出させて倒れる怪人が。
哀れ浜松餃子怪人は、何者ともわからぬ謎のロードローラーによってぺちゃんこに潰されてしまったのである。
「謎に包まれた六六六人衆『???(トリプルクエスチョン)』が動いたようだな」
神崎・ヤマト(中学生エクスブレイン・dn0002)が灼滅者達に事件の発生を伝える。
「こいつは外法院・ウツロギ(毒電波発信源・d01207)を闇堕ちさせ、分裂する特性を持った六六六人衆を生み出したんだ。序列は二八八位、『ロードローラー』。灼滅された『クリスマス爆破男』が以前はその席にいたが、この特異な才能を持つ六六六人衆が代わりに埋めたらしい」
この『ロードローラー』は分裂により日本各地に散って、様々な事件を引き起こそうとしている。
灼滅者にはぜひそれを阻止して欲しい、とヤマトが前置きし、詳細な説明に入った。
「『ロードローラー』は理由は不明だが浜松餃子怪人を襲撃し、殺してしまう。作戦としては、浜松餃子怪人と共闘して灼滅するのが合理的だな。数の有利、敵の敵は味方ってわけだ。もちろん、怪人を見捨てて弱った所を倒すって手もある」
浜松餃子怪人は怪人にしては穏便な活動をしているし、交渉次第で共闘に持ち込むのは難しくない、とヤマトは補足する。
「『ロードローラー』はまんまロードローラーの姿をしていて、なんともふざけた相手だが強敵だ。その巨体でひいたりはね飛ばしたり、飛び上がって押しつぶす事までやりやがる。ポジションはクラッシャーで攻撃力は高いし列攻撃も備えてるから、油断なく全力で挑むようにしてくれ。ちなみにロードローラーそのものだから騎乗状態とかじゃないぜ。それと浜松餃子怪人の戦闘力だが、こちらは一日の疲れもあるのかロードローラーには劣る。サイキックもそれほど種類は多くないが、ポジションはクラッシャーだ。とはいえダークネスには違いないから、味方につけられれば戦力としては十分すぎる。うまく立ち回ってくれ」
ロードローラー撃破後は、余力があればそのまま怪人の灼滅も狙えるが、どうするかは灼滅者達の判断に任せる、とヤマトは締めくくった。
参加者 | |
---|---|
獅子堂・永遠(ブレイラビイド・d01595) |
上河・水華(歌姫と共に歩む道・d01954) |
シルフィーゼ・フォルトゥーナ(小学生ダンピール・d03461) |
秋夜・クレハ(紅の葬焉・d03755) |
銀・紫桜里(桜華剣征・d07253) |
悪野・英一(悪の戦闘員・d13660) |
九条・御調(星謡みの陰陽師・d20996) |
唐沢・一也(残響と反抗・d22673) |
●餃子とロードローラー
「いつもは戦うばかりの怪人ですが、今回はマトモに働き、地域の為に貢献してます。その立派な方をロードローラーの餌食にする訳にはいきません」
戦闘員として怪人の力となりたい、と意気込む悪野・英一(悪の戦闘員・d13660)を始め、灼滅者達は夜の公園へとやって来ていた。
「へふぃ……」
「ま、使えるものは使って、さっさと始末つけるか」
しかし獅子堂・永遠(ブレイラビイド・d01595)やすでに物陰へ身を潜めている唐沢・一也(残響と反抗・d22673)など、内心思うところのある面々もいるが、大方の作戦としては怪人との共闘に同意している。
と、彼らの先に目標の怪人が現れ、その直後またたくまに上空からロードローラーが降ってくる。
「ロードローラー……本当にきたわ……」
「ロードローラーッ!」
九条・御調(星謡みの陰陽師・d20996)が戦慄とともに呟くのと、奇怪な叫び声と怪人のうろたえる声はほぼ同時。
「そこのロードローラー待った!」
灼滅者達はまっしぐらに怪人とロードローラーの間へ駆け込み、秋夜・クレハ(紅の葬焉・d03755)の放った闇の弾丸がロードローラーを弾いて出鼻をくじく。
そうしながら持ち込んでいた複数のLEDライトをばらまき、視界の確保も行った。
「うおおぉっ、なんだお前、いやお前達!」
突然ロードローラーに襲われたと思ったら、次いで割り込んできた者達に怪人はひどく動揺しているようだ。
「あやういところであったのう?」
シルフィーゼ・フォルトゥーナ(小学生ダンピール・d03461)がのんびりとした口調で語りかけて落ち着かせ、御調が説得を始める。
「各地の餃子怪人を狙う666人衆が居るとの情報を掴みました。此処は危険です。浜松餃子の為に真面目に働いてくれている貴方を失うのは忍びありません、どうか一緒に戦ってくれませんか」
「いや、いきなりそんな事言われても……お前達の目的がよくわからんし」
「浜松餃子を食べに来たらこのような事態になっているとは……、浜松餃子怪人様、ロードローラーにて浜松の街を荒らす者、断じて自分は許せません、手助けさせてください!」
英一の力のこもった言葉に、怪人は胸を打たれたよう。
「餃子おいしいですよね。……でも、普通の餃子しか食べたこと無いので、浜松餃子をご馳走になりたいです。だから貴方に倒れられたら困るんです」
ヘッドライトを着用した銀・紫桜里(桜華剣征・d07253)が、サウンドシャッターを使用しながら怪人に声をかける。
「そうか……浜松餃子をそこまで……」
「まぁ、餃子と言えば浜松だよな。あのロードローラーも元は俺達の仲間で、凶行を止めてやりたいんだ。力を貸してくれないか?」
腰に懐中電灯を取り付けた上河・水華(歌姫と共に歩む道・d01954)も、誠意というように闇の契約を怪人へかける。
「やちゅは仮にも288位という高位のダークネスじゃ、ぬしの手にもおえにゅであろう、どうじゃやちゅを倒しゅまで儂らと手をくまにゅかの?」
「一時休戦、という事か……」
「浜松餃子が無残に踏み散らされるのを見過ごせないだけ」
クレハが素っ気なく、けれど強い口調で言って、ロードローラーと対峙する。
「浜松は母の実家があるのよ……だから餃子もよく食べていてね。思い入れがあるのよ」
御調の静かだが、熱の込められたセリフが怪人の最後の一押しとなったようだ。
「わかった……浜松餃子のためなら、手段は選べん!」
●ぺちゃんこだよー♪
「理解していただいて嬉しく思います。では不肖この私も……変……身……!! イーーーー!!!」
英一が叫ぶや、謎の爆発演出とともにその姿が戦闘員スーツに包まれる。
「おおっ……!」
「ねー。そろそろいい?」
驚きに目を見開く怪人と、暇をもてあましていたのかあくびをかみ殺していたロードローラーがぼやく。
「ああ、十分だぜ……!」
仲間達が怪人を説得しつつロードローラーの注意を引いている間に、背後へ回り込んでいた一也が狙い澄ました鏖殺領域を浴びせる。
さらにその反対方向に隠れていたビハインドのリサが、よろめくロードローラーへ霊撃による追撃を加えた。
「……いきます」
シルフィーゼの立ちこめさせるヴァンパイアミストを背に、覚悟を決めるように呟いた紫桜里も駆けだし、こちらも鏖殺領域を放って自らの妨害能力を高める。
「それにしても巨大だな……動きを止めてやる!」
動き回ろうとするロードローラーのローラー部分に、水華の放った制約の弾丸がくさびを打ち付けた。
「イイイーーーー!」
続けざまに英一の射出した妖冷弾が敵を凍てつかせ、浜松餃子怪人がその胴体めがけて強烈なキックを叩き込む。
「いったぁーい☆」
が、ロードローラーはその場で飛び上がり、接近していた前衛を猛烈な勢いではね飛ばす。
「あんなふざけてる癖に強いのが……ムカつくぜ!」
高々と吹っ飛ばされた一也だが、即座にエアライドを用いて空中で体勢を立て直し、舌打ち混じりに着地する。
「やらせない……守ります!」
ロードローラーをやり過ごした御調が清めの風を吹き抜けさせ、仲間に植え付けられたトラウマを取り除く。
「隙だらけですの!」
一方で攻撃後のロードローラーへ狙いを定め、永遠のデッドブラスターがその巨体を揺さぶった。
「あだだだだ」
「餃子の明日の為に、行くわよ!」
あまり深刻には聞こえないうめき声を上げるロードローラーへ果敢に近づいたクレハが、死角から黒死斬を見舞う。
手応えはあるものの、ロードローラーが止まる気配は見られない。
「多方面からの攻撃には対処しきれまい」
だが攻勢は止まらず、逆方向から飛びかかるシルフィーゼの紅蓮斬がロードローラーの側面に深々と亀裂を刻む。
「どうして……餃子怪人を狙うんですか……っ?」
正面へ立ちふさがる紫桜里が、黒死斬で斬りつけながら問いかける。
「そこに餃子怪人がいるからさぁ☆」
よくわからない答えを得意満面の笑みで返し、またも跳ね回り始めるロードローラー。もう質量とか重力とか完全に無視だった。
「アレに潰されてぺっちゃんこは御免被りたいな」
前衛の一也達が懸命にかわす中、英一が渾身のオーラキャノンを発射する。
「イーー!! イーー!!」
ロードローラーのふざけた返答に怒りを感じているのだろうが、言語が言語だけにこちらもよくわからない。
「ニュアンスは伝わるからいいが……っと、こっちに来ているな……」
ロードローラーの標的がこちらにあると読んだ水華が、すかさずウロボロスシールドで守りを固めにかかる。
「……アレの攪乱、頼む」
合間を縫った一也が視線も合わせず短くビハインドへ指示を与えると、ビハインドも黙って行動に移った。
「こっちを向けですの!」
「邪魔だよーっ♪」
後衛への攻撃を妨げようと前衛、中衛達が様々なバッドステータスを付与するも、どしんばたんと衝撃音を響かせながら回転するロードローラーはそのままの勢いで御調達へ突っ込む。
「イ゛ェ゛ァ゛ーー!」
「くっ……」
絶叫しながら真上へ吹っ飛ばされる英一と、なんとか堪え忍ぶ水華。
「腕が……しびれます」
ロードローラーを鬼神変の腕で殴りつけ、進路を変えたはいいもののダメージを殺しきれずに膝を突く御調。予想以上に敵の攻撃力は高い。
●潰すか潰されるか
「喰らえ浜松餃子ビーム!」
そんな中でも的確に攻撃を命中させる怪人の存在は、やはり戦力の中核と言えた。自然、ロードローラーとの戦いは怪人を中心として四方から状態異常を浴びせかける戦法になる。
「やりゅのう、288位!」
「どーもーおっほっほ!」
「じゃが!」
何度目かにロードローラーに跳ねられたシルフィーゼが、転んでもただでは起きぬとばかり、中空で引き抜いた刀をロードローラーの顔部分に突き立てた。
「むがーッ!」
刀身を鼻にぶっ刺されたロードローラーの顔が悲痛にゆがみ、これでもかと暴れ狂いながらシルフィーゼをはねのける。
「……はっ!」
そこに雲耀剣を中段に構えた紫桜里が横一文字に斬り抜けていく。
「イーーイイイイーーー!」
動きの止まったロードローラーへ奇声を張り上げる英一がしゃかしゃかよじ登り、至近距離から轟雷を叩き落とす。
「イィィーッ!」
「んみゅ……やかましくてたまりませんの!」
英一のみならずロードローラーまでもがイーイー言い出すのにうんざりしたような永遠が、ヴェノムゲイルを吹き荒れさせる。
度重なる毒の嵐にロードローラーの表面が溶けつつあった。
「風よ、仲間達を癒してくれ!」
「護符よ、守って!」
水華の巻き起こした清めの風が仲間の傷を治し、御調の防護符が防御を固めていく。
「うぐぐ……」
「あなたにはまだ、倒れてもらっては困るのよ」
先ほどロードローラーを避けきれずに潰されかけ、負傷した怪人に対しクレハが集気法で衝撃を緩和させた。
「すまんな……この借りは返すぞ」
「ま、期待しねぇけどよ……!」
面白くもなさそうな一也がロードローラーへ肉薄し、勢いそのままに斬りつける。
べりべりと装甲のはがれるロードローラーはたまらず後退するが、その先に待ち構えていたビハインドに追い打ちをかけられ、徐々に動きが鈍り始めた。
しかし。
「ロォォドローラーッ!」
ロードローラーがシャウトすると同時に殺気が膨れあがり、レーシングカーもかくやというスピードで地面を掘削しながら走り回る。
「ようやく本気になったか……」
それを見やった永遠の口調が変わっていた。ブラックフォームとエイティーンをそれぞれ行使し、黒いオーラをまといながら十八歳の姿へと変貌を遂げたのだ。
めまぐるしく暴れるロードローラーに灼滅者達は翻弄されながらも、ぎりぎりのところで戦線を維持していた。
敵が突進するごとにかち上げられる仲間を水華、御調の回復が支え、紫桜里と永遠が隙あらば毒や武器封じを与えていく。
「ロードローラーの癖に早すぎだろ……!」
「追いちゅくのもやっとじゃのぅ」
もっとも狙われるシルフィーゼや一也、怪人達のダメージも蓄積するが、その分反撃も喰らわせてロードローラーを陥没させる。
かわしきれない列攻撃は時にクレハが肩代わりし、全員へ攻撃を分散する形で戦況を進めていく。
と、何度目かに打ち込まれたサイキックに、ロードローラーの動きが止まった。
ぼろぼろになった全身から煙を上げ、ローラーを回転させて進もうとしているようだがうまくいっていないよう。
「アーッ! 動かなイィーッ!」
苛立ったみたいな叫びに、ここが好機と灼滅者達は気迫を込め直す。
「今です……!」
御調の呼び込んだ清めの風が、傷ついた前衛達を癒して立ち上がらせる。
「ここは攻める……っ!」
駆け出す前衛に水華も合わせ、敵に次々とサイキックを撃ち込んで行動を縛り付けた。
「吹き飛ばしてやろう!」
正確に狙いをつけた永遠が射出したDCPキャノンに、ロードローラーの内部が毒でとろけていく。
「行け……!」
一也があえてビハインドの名を呼ばずに命令だけを飛ばし、同時にロードローラーの両側を破壊しながら駆け抜ける。
「返す刀じゃ!」
反対側から攻め込むシルフィーゼの炎の一閃が弧を描き、ロードローラーの頭部を瞬時に斬り飛ばした。
首を失ったロードローラーだが、胴体だけで動き回ろうとしている。これではどちらが怪人か。
「動きが止まった、いけるぞ!」
「イーッ!」
特に打ち合わせもないが英一と怪人が揃って宙高く飛び上がり、ぴったり身を寄せ合い上空からロードローラーめがけて突っ込んでいく。
「今しかない!」
「これで……、終わりですッ!」
クレハがロードローラーの攻撃を引きつけつつ飛び上がって斬り裂き、その死角から紫桜里がロードローラーへ大上段の雲耀剣を叩き込む。
直後、特攻をかけた戦闘員と怪人が稲妻のようなキックでロードローラーをうがち抜いた。
「ロ、ロード、ロー……ラー……」
流れるような連携攻撃にぐらりと傾ぐロードローラー。次の刹那には大爆発を起こし、爆煙が公園を包み込んだ。
●餃子の選択
「助かったぞ! 奴に目をつけられた時はもう終わりかと思ったが……」
すっかり敵意のなくなったらしい怪人が、一息ついた灼滅者達へ近寄っていく。
だが。
「知っているか? 良い餃子は皿に乗った餃子だけだ」
その喉元へ、おもむろに永遠がキングカリバーを突きつけた。怪人の足が止まり、その場で緊張感が高まっていく。
「やめりゅのじゃ、永遠」
そこへシルフィーゼが割って入る。
クレハもその背後で無言だが、じっと様子を窺っていた。
一触即発の空気の中、水華が飄々とした態度で怪人へ向き直る。
「だいぶ疲労してるだろう? なんなら心霊手術をしてやろうか?」
「む……」
「流石に共闘した恩を仇で返す事はしたくないしな……」
「その後で餃子を分けていただけると嬉しいです」
「楽しみにしていたので……」
御調と紫桜里も同じように頼み込み、怪人は当惑して灼滅者達を見回した。
「イーッ! イーイーッ!」
英一もなんか変なポーズを決めてたぶん餃子をもらおうとしている。その姿に毒気が抜かれたのか、一気に場の雰囲気がなごんでいった。
「……闇堕ちさえできれば……」
この状況では分が悪いと見たのか、ため息をついて永遠が剣を下ろす。
怪人も警戒心をぬぐい去ったようで、あっけらかんとした様子で浜松餃子を取り出していた。
「そこまで言うなら助けてもらった礼もある。好きなだけ持っていくといいぞ。とはいっても売れ残りしかないが……」
それで構わない、と灼滅者達が餃子を受け取っていく。冷めてしまっているが怪人秘蔵の品だ、暖めれば作りたてと寸分違わぬ味わいを取り戻すことだろう。
「……」
一也もむっつりとした顔で一個口の中へ放り込む。
噴き出す肉汁と程よい食感のハーモニー。うまい。でもムカつく。
横でビハインドが見守っているが、なんとなく何も言わなかった。戦いを終えてもややぎこちなさが残っているふう。
「次に会うときは敵同士よの、遠慮なくやらせてもらうぞ」
「それでいい。次は正々堂々戦おう。だが餃子を好きな気持ちに違いはないだろう」
うむ、と厳かに頷くシルフィーゼだがこちらも餃子を頬張ってほくほく顔である。
「……お前はいらないのか?」
怪人が離れた場所に一人立つクレハを見つけ、声を掛けた。
「……浜松餃子は好きだけど、あなたとは再び会った時は恐らく敵同士でしょう」
それよりは自分に振舞うより、敵味方関係なく喜んでくれる人に味わってもらいたい、と言うクレハに、怪人は構わず餃子を突き出した。
「さっきも言ったが、餃子を好きな気持ちに違いはない。今は敵味方とか忘れて、俺の餃子を食うがいい」
「……この味、いい腕してるわね」
餃子を口にし、クレハは少しだけ表情を緩めたのだった。
作者:霧柄頼道 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2014年5月11日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 14/感動した 4/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 3
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