「今年もコスプレ競争の季節がやってきたわねッ!」
「それを言うなら、運動会の季節でしょうが」
すでに張り切っている黒鳥・湖太郎(黒鳥の魔法使い・dn0097)に、春祭・典(高校生エクスブレイン・dn0058)がボソッとツッコミを入れた。
武蔵坂学園の運動会は5月25日。
学年を縦割りした組連合で競われる。
もちろん競技内容は普通……ではないものも多々。
『コスプレ競争』はそんな武蔵坂学園の運動会的には、まあ穏当な種目と言えよう。コスプレして、パフォーマンスをしながらトラックを1周。スピードではなく、コスプレとパフォーマンスの内容に点数がつけられ、MVP1名が選ばれる。
衣装や演技の内容は自由。お客さんや他の出場者に迷惑をかけない範囲で、自分も観客も楽しませることを主目的とする。
「コスプレ競争、スピードじゃなくて、コスプレとパフォーマンスで審査されるってのは、平和でいいですよね」
「そうよ、小さい子や、運動の苦手な子でも、発想と創意工夫次第で1位になれる種目なのよ」
2人は昨年の運動会を思い出して。
「グループ参加のも面白かったですよね」
「そうよね、仲良し同士ならではの発想が楽しかったわあ……あ、そういえば組連合内でしか、組めないのよね」
「ああ、そうでしたね」
クラブ等で組むと、敵と組むことになってしまうかもしれないからだ。
「でも、クラスメート同士ならではとか、大学生と小学生のコンビだからこそ出来るコスプレってのもありそうよ」
湖太郎はキラキラネイルのでっかい拳をぐっと握って。
「今年はどんな楽しいコスプレを見せてもらえるのかしらね。アタシ、張り切ってお手伝いしちゃうわよー!」
パァン!
コスプレ競争は、お祭に相応しい華やかなドレスの姫君たちと、騎士によってスタートした。
「あらぁ、アンジュ姫ったらどうなさったの、その衣装?」
信志(d03095)は走りながら、プリンセス勝負を挑んだ友人の安寿(d10207)を高飛車に見下ろした。信志はバイトのつてで借りた本格ドレスに自前のウィッグでお手軽に完璧だが、
「えーっ、こんなに頑張ったあたしより、借りただけのシンディさんの方がゴージャスって何それ!?」
安寿は古着屋で買ったものを必死にリフォームしたドレス。
「サテンやリボンやスパンコールやコサージュで、一生懸命キラキラさせたのにーっ」
「まるでシンデレラね、オホホホホ」
信志は、悪役に酔いしれて高笑い。
【Café : Phönix】のメンバーは、クラブの宣伝も兼ねて出場だ。ウィーン宮廷風のドレスに銀髪の鬘と本格的。しかし、勇弥(d02311)は涙目で足をひきずっている。
「コルセットが食い込むっ、ヒールが歩きづれえっ、でも宣伝しなきゃ……(裏声)わたくしウィーン女帝マリアテレジアは珈琲を愛したことでも有名。そしてわたくしの名を冠した珈琲が、カフェ・マリアテレジア。ぜひ一度、お試しになっては?(一礼)」
実(d03786)は少女時代のマリー・アントワネット風の水色のドレスだが、こちらも、
「胸が……すーすーする」
胸元を気にしつつ大柄な勇弥を必死に支える。昭乃(d13672)は組連合が違うのだが、やはり宮廷風ドレスでクラブ員と並んで歩きつつ、
「初めてのコスプレ、緊張してます……」
と、何もぎこちない。その時、
「3人とも素敵よー!」
トラックの外から、メイク係の湖太郎(dn0097)ののんきな黄土色の声援が。
闇の姫君風のゴスロリドレスにウェーブのかかった銀の長髪と黒い目隠しの望(d25986)は、ジャグリングで喝采を浴びる。大鎌を操ってボールを跳ね上げ、更に3本の短剣、5本のカトラス、長剣を7本追加。しかも踊るようにそれらの得物がくるくると組み合わさり、見事なタワーを形作る。
奏音(d07244)は、ピンクのドレスでエアパートナーを相手にソシアルダンスを踊り出す……と、隣のレーンにいた亜理栖(d00497)が彼女に深く会釈をして手を取った。
「姫、踊って頂けますか?」
彼は白銀の鎧と、青色のマント、腰には刀の仮面の騎士の姿だ。姫君と騎士は、華麗にステップを踏んでトラックを3分の1周ほどしたところで丁寧に挨拶をして別れた……と思ったら、奏音はドレスをバッと脱ぎ捨てショーパン姿でヒップホップダンス。更に3分の1進んだところでレオタード姿になり、新体操のリボンを振りながら亜理栖騎士に投げKiss☆
第2組は武蔵坂名物(?)魔法少女対決だ。号砲と共に2つのグループが飛び出していく。
まずは【吉祥寺中1H】のくしな(d10889)が、緑を基調とした和風魔法少女衣装で名乗りを上げる。
「困った時は殴って解決! 鬼っ娘魔法少女プアオーガっ♪」
露出多めで角がチャームポイント、サイキックの炎翼や鬼神変の張りぼても装着。
「マジピュア、シャイニングアップ! 慈愛の戦士、ピュア・リリー参上!」
ユリアーネ(d23999)は白と水色のフリフリ。結晶の片翼は、段ボールに蛍光塗料を塗った力作だ。掃除覚悟で雪と氷をイメージしたキラキラの紙吹雪も舞わせる。
花楓(d20654)は、フリフリの黒ゴシックドレスに小さな羽を付けて、
「奇跡の力でそれとなく! モノメープル!」
黒い帽子にお化けのイヤリングが可愛らしい。
夜雲(d22308)は、白と赤のフリフリミニスカート、背中には羽のような大きなリボン、髪はツインテール。パフォーマンスのためにマイクのコードを引きずっている。
「ボクの歌で世界を守って見せるよ! 歌唱天使フォースシンフォニー、天使の歌声と共に、今、光誕!」
朱(d16267)は黄色を基調にしたふんわりした衣装で、髪型は黄色リボンでサイドポニー(ウィッグだけど)。
「困った人は放っておけない! お人好し魔法少女バーミリオン♪(あう~、女の子の格好はちょっと恥ずかしいな)」
と内心照れつつも、皆と揃って決め台詞。友達と一緒なら怖くない! だって5人中3人男子だし!
「「「歌と慈愛と暴力で解決♪ マジカル吉祥寺シスターズ!」」」
一方【3C桜】の遥(d22136)トラックの半ばで仲間を待ち受ける。露出多目な黒ドレスに禍々しい角兜。悪の幹部風の女装だ。髑髏の杖を振り上げて。
「そこまでだ、お前たち」
静香(d16584)とイルル(d09812)をとおせんぼ。やってきた正義の2人はそれぞれ紅色と青色の昨今の武闘派魔法少女衣装。
「進みたければ、妾を倒してみよ!」
遥は悪役にノリノリである。正義の2人もキッと敵を睨み付け。
「どうしても私たちを通さない気ね?」
「でも、わたしたちは行かなきゃ、でしょ、イルル!?」
「うん、やろう、静香!」
静香とイルルの左腕と右腕が合わさって。
「「キラピュア☆ ラブバスター!!」」
ダブルパーンチ☆
3組目の着ぐるみ……ロボットや人形を含む……対決がスタートした。
「グースグスッ! グスッスー♪」
狛(d23567)はシーサーの着ぐるみで玉乗りしつつご機嫌でギターを弾く……が。
「……グスッ!?」
わざとコケて尻尾ふりふり。小動物っぽいかわいさと共に、
『何かリクエストはありませんか?』
プラカードでギターの腕もお客さんにアピール♪
睦月(d00626)は中世の道化師のような派手な衣装で登場した。頭上には木の板が2枚。そこから手足に長い糸がつながっている。マリオネットだ。カクカクとパントマイムをしながら観客席に進み、優雅に一礼した後、おどけるように転んで起き上がって、走って、転んで……。
1.5mほどの段ボールの車輪が側転している。顔と手足の先だけ覗かせて頑張ってるのは、なを(d00890)の断罪輪だ。表はそれらしく絵が描いてあるが、時間切れだったのか裏は『だんざいりん』と書いてあるのみ……しかも。
「きゃあ」
「す、すいません」
カーブを曲がりきれず、客席に突っ込むし。
一方、横にごろごろ転がっているのは、アルビナ(d09028)のロケットだ。手足が出せなかったので転がるしかない……と、突然ドライアイスの煙が噴出して。
「脱出~!」
ヒーロースーツのロケットマンが飛びだした!
利恵(d23692)は露出多めのキャットスーツで、猫っぽさの追求がテーマ。スタートするやいなや寝転がってひなたぼっこ、顔をくしくし洗った後、ボールをおいかけて走ったり、弾いて転がしてみたり。猫の気まぐれっぷりを存分に表現する。
「見たな、見たな、見たな、見たな、ダイミタナー!」
ご機嫌で全力疾走する鉄の棺桶は、小太郎(d20172)。深夜アニメのパロディのペン忍ロボットだそうだ。重そうだし可動域が少なくて非常に動きにくそうだが、本人が楽しそうだから、いいだろう。
カンガルーのような大きなポケットの黒猫と、郵便鞄を下げた白猫が、折り紙に包んだキャンディを客席に配っている。ゆのか(d04387)と結芽(d26640)だ。テーマは猫の郵便屋さん。折り紙は結芽がひとつひとつ折った。
「疲れた時は甘いものだよ~♪」
キャンディがなくなると、ゆのかはポケットに結芽を入れて。
「くろねこ郵便、お届けしました~♪」
可愛くゴール!
気づけば、スタート地点にナノぐるみがぽつんと残っている。なにアレ、と客がざわざわし始めたその時!
「あれはなんだ? 空飛ぶナノナノだ!」
サアッと屋上からエアライドで舞い降りてきたムササビのようなナノナノは清和(d00627)。練習の成果か、喝采を受けながら見事にゴール地点に着地を決めたところに。
「うわあっ!?」
「す、すいません!」
ボロボロの断罪輪が突っ込んできた。
4組目のテーマは『サービス業』である。
「サービス業?」
典(dn0058)の道具運びを手伝う蔵人(d19625)は、アナウンスに首を傾げた。
「今年は、メイド&執事だけでは1レースに満たなかったんで。けれど、レース数をむやみに増やすわけにもいかないから……よっこらせ」
「なるほどな……」
とは言っても、今年もメイドさんは人気である。客席にお菓子を配るミニスカメイドは、京香(d24476)。
「い、言っとくけど、競技だから仕方なくやってるんだからね! べ、別にあんたたちの事なんかご主人様だなんて、これっぽっちも思ってないんだから!!」
ツンデレ全開。
裕也(d01461)メイドは、スカートをひらひらさせて全力疾走。
「着てはみたけど……メイドって一体何をしたらいいんでしょう!?」
おろおろ走っているうちに、あっという間にゴールしてしまった。他の出場者をはぁはぁしながら見返って。
「お、応援しようっと……」
喜一(d25055)メイドも全力で走りながら、こちらは演説していた。青春の叫びが迸る。
「まず審査員の方々、及び他の教職、生徒の方々には謝っておかなければならない事があります! 俺が着ているこのメイド服。これは俺にとってコスプレなどでなく、魂の正装だということを! そうです。土下座をして謝らなければ(続く)」
錠(d01615)と葉月(d19495)は、執事&メイドでキメキメである。ウィッグにミニスカにニーハイ、ムダ毛処理も万全な葉月は銀のトレイにグラスを載せて、小揺るぎもせずにしずしずと歩く。黒服に白手袋、オールバックに銀縁眼鏡の錠が、離れたところからそのグラスにスプーンを投げ、見事に投下。拍手をうけて、
「武蔵坂のメイドたるもの、これくらい出来なくてどうします?」
「ふっ、執事たるものこの程度……」
「2人とも素敵ぃー!」
メイク係の湖太郎の鬱金色の声が飛ぶ。
ベージュの作業着に黄ヘルメットで鉄道員のコスプレは華琳(d03934)。鉄子なのだ。『浜の赤いあんちくしょう』の運転主任という設定で、赤と緑の手旗を使ったマニアックなパフォーマンスを見せる。キメ台詞は当然、
「ダァシエリイェス!!」
「ほ、穂之宮紗月、歌います!」
紗月(d02399)と和佳奈(d02190)は、アイドルとカメラマン。紗月はゴスロリドレスにミニシルクハット、歌いながらトラックを廻る。和佳名はバッチリ調整した業務用カメラで、歌い踊る友達を写しまくる。恥ずかしがっていた紗月の調子が出てきたのを見計らい、
「はーい、じゃあ1枚脱いでみよっか♪」
「ぬっ、脱がないよっ!」
指を銃の形にしてレンズに向かってバキューン。
「おおっ、それも可愛い!」
パシャリ!
次のレースのテーマは童話や昔話、伝説など。
とはいえ、ここは武蔵坂学園。赤ずきんコスのメソリア(d24659)は、銃を手に走り出す。モンスター映画に出てきそうなコーデだ。照れで泣きそうではあるものの、格闘ゲームのコンボのような勇ましい動きで、バスケットを振り回したり、銃を乱射ったり。
光影(d11798)は全身を隠す大きくて黒い西洋甲冑姿。剣を掲げながらのっしのっし歩いていたが中盤で鞘に収め、おもむろに頭部を外す――と、そこには何もない。おおと客席がざわめく。『首なし騎士』だ。光影自身の頭は首より下にある。再び歩きだすと、盾に仕込まれた音源からは、金属音が不気味に鳴り響く。
【井の頭小4年薔薇組】はシンデレラ。但し、足にはローラーブレード。織姫(d02912)は真っ赤な薔薇のミニドレスのシンデレラ。フィギュアスケートのように華麗に舞う。王子様のレイド(d16652)も真っ赤な正装に白薔薇を胸に挿して、優雅にシンデレラを追いかけ、腕にかけた銀色の籠から、薔薇の花びらを撒く。魔女役の乙葉(d21658)は2人の少し先を行き、えいっと杖を振る……と、ナノナノのオレンジさんがカボチャの馬車のかぶり物で現れた。
ゴールは、3人仲良く手をつないで。
「あー、楽しかったっ」
「ね-。でもやっぱり全力で走りたい!」
「ってあれ、織姫さん、もう1周!?」
雪羽(d21478)は、針金で絨毯を巻き付けた箒の上に、アイスバーン(d11770)を抱き上げた。
「アイス、俺と一緒に飛んでください!」
ふたりはアラビアン・ナイト的なエキゾチックな衣装で、姫と魔法使いの逃走劇を演じる。
「うー……やっぱりすっごく恥ずかしいんですが」
演出のドライアイスのスモークの陰で、アイスバーンはしきりに照れる。雪羽はそんな彼女の手の甲に口づけて。
「恥ずいのは俺も一緒! でも楽しいぜ!!」
次の組も昔話。【西久保中3G】の『狐の嫁入り』だ。
粛々と花嫁行列が歩き出す。付き人役の景吾(d20047)と識(d18808)は噴霧器とヒールサイキックで天気雨を演出。皆、狐面を被り着物をつけている。
識は尻尾に仕込んだ噴霧器の水量に気を遣う。
「(列全体に、霧雨になるように調節して……)」
景吾も女物の着物で演出を施しながら、
「(両親に女の子の服装をさせられて最初は恥ずかしかったけど……慣れてきちゃったな)」
キラキラと行列を美しい霧雨が覆う。
行列の主役、狐の花嫁はキラト(d17777)。白無垢でおしとやかに歩いてはいるが、
「おかしい、女子もいるのになんでこうなった……」
遠い目でぶつぶつと呟いている。
「キラトさん、身長お高いですし、綺麗なのです」
介添え役の桜(d17551)がキラキラした眼差しで見上げて励ます。
「皆さんとひとつのものを作り上げる……素敵ですっ。それに花嫁さんは女の子の憧れなのですよ!」
「う、嬉しくねぇ……」
列がトラック半ばまで進むと、傘持ちの歩(d22960)が、皆の提灯にクリエイトファイアで点火する。
「このお面、意外と視界悪いわね……よわーく、よわーく……」
火気注意。最後の提灯は少々強火でドキっとしたが、無事点火。狐火になぞらえた提灯は幻想的にゆらゆらと揺れる。
ゴールでは、花婿のカイ(d18504)と、神主の焔迅(d09292)が待っている。
ぐったりゴールしたキラトをカイは幸せそうな笑みで迎え、
「こうして皆で同じ題材に取り組むのも、仮装行列とはまた趣を異にして楽しいものだな。
各々の良さの活きる配役だし……なあ、キラト?」
花嫁の仮面を外してやり、
「……綺麗だよ」
面を外しても白塗りの狐化粧(湖太郎謹製)のキラトは、
「え、きれ……は!? おま、彼女いるくせに何いってんだぁぁぁ!?」
耳まで赤くし硬直する。そこをカイがすかさずお姫様だっこし、
「せっかくだから、こうしてもう1周いくか?」
神主役の焔迅は、せっかく古式ゆかしい装束に烏帽子と浅沓を着けているのだからと、必死に笑いを堪え(狐面グッジョブ!)手の笏をそれらしく掲げて。
「どうぞお幸せに! いやあ、結婚式って本当にいいものですね!!」
今度の組は、武蔵坂的には外せない、ホラー、お化け、そしてダークネス系である。
【吉祥寺中1D】の3人は『出張お化け屋敷』。ヒオ(d15042)は、頭に斧の刺さったゾンビさんだ。血のり大目のメイクで気合い充分。
「皆似あってますねぇ、私達も雰囲気出せるように頑張りましょうー」
真琴(d11900)と潤子(d11987)は、右前の白装束に三角の天冠を頭につけた和風幽霊でゆらりゆらりと歩く。
「うらめしや……うらめしい……」
潤子は、踊りの稽古で習った幽霊の仕草や、歌舞伎で見て勉強した幽霊を実践。真琴は釣り竿に吊したコンニャクをお客さんにぴとっとかしてみたり。ついでにその後ろからヒオが顔を出して、にたりと笑って頭の斧を外すギミックを披露してみたり、楽しくおっかないお化け屋敷感満載だ。
「すてき、すごい怖いわよー!」
メイク係の湖太郎の茶色い声援が飛ぶ。
御都(d10846)は、今年はなんと『トンカラ的魔法少女』。ピンクのミニスカドレスに包帯と、なかなかあざとい。
「今年はそっち系の人たちを洗の……ゲフゲフ、勧誘です! とんからとんからとんからとん♪ BGからこんにちは! トンカラ系魔法少女マジカルミィート、ここにさぁーん上!」
トンカラトンではないが、包帯ぐるぐる松葉杖でトラックを必死に逃げる患者がいる。壱琉(d17245)だ。それを追うのは、ナース姿で巨大注射を持った琥珀(d27096)。
「お注射の時間ですよ~!」
「俺は練習台になる気はないからー!」
「ダイジョウブ、いっぱい練習したんだよ!」
そう言って琥珀が笑って注射したのは、ボロボロのくまのぬいぐるみ。
「ほら、ね」
「こ……こ・ろ・さ・れ・る」
「逃・が・さ・な・い……よ?」
こ、こわい。
ラストレースはお待ちかね! セクシー対決だ。
「クリス、和ノ心、ミセルネ!」
張り切りまくったクリスティーナ(d13131)は、どこで間違ったのか、サラシに法被までは良かったが、下半身は褌のみの山笠スタイルだ。しかも大きなお尻をふりふり激しいダンスパフォーマンス。褌は食いこむ、サラシは緩む。しかもゴール前では焦って転び、俯せにコケてしまい、褌を締めただけの大きなお尻が……。
「Let'Rock!」
エニシア(d26860)はそう叫んでスタートした。思い入れのあるヒーローを意識した衣装を着けている。短い黒のブーツに茶色の長ズボン、前を開けた深紅のロングコート。コートの下は太いベルトで胸を隠しているだけなのが、ちょっとセクシー。
「This take!」
二丁拳銃や剣のアクションで元気いっぱいアピールする。
クーガー(d21014)は、桃色の着物で女形風。自分で選んだはずなのに、いざ本番となると恥ずかしくて顔を上げられず、裾を持ち上げて早足で廻る……が、やっぱり転んでしまって。
「くうぅぅぅ……」
「クーガーちゃん、頑張って! とおってもセクシーよ!」
メイク係の湖太郎の芥子色の声援が聞こえる。
洋子(d06356)は、みずらに結った髪に、スリットの深いチャイナドレス。そのドレスで体育会系らしくうさぎ跳びをすると……ドレスがひらひらして、スリットから太腿がちらちら。観客の視線を集めていることに気づき、途中からは全力疾走!
智優利(d17615)は挑発的な青の超ミニチャイナにブラウンのストッキング。ヘアは白布でくるんだお団子で、ブーツも合わせて白。達郎(d19114)とストリートファイトの演武をする。
達郎の方は柔道着のような格闘技を黒帯を締め、赤い鉢巻きと赤いハンドグローブ。
「いかにもストリートファイターってカンジね!」
「おう、俺は勝負は勝ちにいくスタイルなんでな!」
当然手加減攻撃であるが、なかなかの迫力。
「舞姫殿、こちらです!」
兜無しの全身鎧にサーコートを羽織った騎士姿の式夜(d00319)が手を取ったのは、エウロペア(d04163)。彼女はエメラルドグリーンとターコイズを基調とした総シースルーの、エキゾチックでセクシーな衣装を着ている。宝石をちりばめた金のアクセサリーが目映い。囚われの舞姫を救い出す騎士という設定なのだ。
しばし走ると、式夜はエア敵を相手に力強い殺陣を披露。エウロペアもヴェールをひらめかせながら剣の舞で騎士の背中を守る。
無事にゴールし、ふたりはめでたく船出する。
「舞姫殿、我が国はもうすぐです」
「ありがとう……ずっとお傍に……」
「――あ-、今年もとーっても面白かった! いっぱいメイクさせてもらっちゃったしー」
競技が終わり、組連合の応援席に戻った湖太郎である。
「あとはMVPの発表を待つばかりだけど……ねえ、誰がとると思う!?」
作者:小鳥遊ちどり |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2014年5月25日
難度:簡単
参加:62人
結果:成功!
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