花海纏ふ濡れ羽衣、代々受け継がれるは深海の眼。蝶よ花よと育てられた訳も無く厳格な両親に常堪え忍べと学びこう。逸れでも淋しい時は部屋でひそり紙造花を繕い想ひを押し込め棄てて。ぽっかりと空いた心の穴を見てみぬふり。相手を常に慕う物言ひ。母親の影響か表情、物腰にいたるまで全てが柔らか。鋏でちよきり紙をちよきり家の側にある海を眺め紙造花に命を吹き込む役目、其は芸術と慈しむ嘘を愛しすぎた少女。