隅っこの校舎の人通りの少ないとある階段。
その階段の側面に扉がある事を、
ましてや、その奥が部屋になっている事を知っている人は職員ですら少数だと言う。
そもそもの知名度がなければ、
階段下だけに当然狭く、やや湿気たその部屋を使う者は久しくいない。
だが、最近になって物好きがその一室を使う様になったと。
わざわざこんな僻地を貴方が訪れたのは、そんな噂を聞いたからかもしれないし、或いは只の偶然かもしれない。
そろりと階段の側面の扉前へと立てば、張り付けられた一枚の紙。
「合言葉をどうぞ」
部屋の中にはかすかな気配。
知りもしない合言葉を告げるか、はたまた強引に扉を開くのか。引き返したって良いかもしれない。
選ぶのは貴方次第。
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何となく人知れぬ場所でゆっくりしたいそんな人に。
…と言うと、それっぽいけれど。
それぞれのペースで過ごせる場所になれば良いなと思うよ。