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喪服の蝶が舞い降りる 鳥の留まらぬ花筐へ
過ぎし逢瀬は重ねて数多 枝葉の文をとる者もなく
春告鳥は天高く謳い
天童の下に蜉蝣遊ぶ
金木犀の香鼻先擽り
冱空に舞い散る六花
ひととせ廻りて また出会い
彼方のきみに 寄せる想い
さぁ。
夜の帳が開いたなら 燈る鬼火を数えよか
朧の月が 隠れる前に
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松林を掻き分けて 石畳の路行けば
ひっそりと其処に佇む日本家屋
門戸から垣間見えるのは
季節の華々が彩る庭園
縁側には女がひとり、空を見上げて―
【戸を開くのは指折り。閉室中】
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