迷い人か…?
見ての通り、此処には何もない。
可笑しい話だ、此処に来る奴は招かれたようにやってくる。
アンタもそうなんだろう…?
招きも拒みもしないさ、雑踏に疲れたなら…おいで。
茶くらいは出せるぜ…味は月並みだけどな。
街から外れた、林の奥の奥。
崩れかけの階段を昇れば
人目を避けるように建った日本建築の平屋が見える。
周りには少し傾いた灯篭と、忘れ去られてしまったかのような小さな社が建つ。
宵色の髪の少年は、忘れ去られた何かを慰めるように
時折、笛の音色を響かせた。
そして、心奥を隠すように月色の瞳を細めて薄く笑った。
*****
ゆっくりと扉を閉ざし…
(再入部の方は、いつでもどうぞ)
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