都内某所、かつて大きな屋敷があったと思われる漆喰の塀に囲まれた敷地内。
そこにあるべき屋敷はなく、ただただ土蔵が等間隔に並び立っている。
持ち主は武蔵坂学園の支援者だというのだが、維持管理が面倒とのこと。
「そんなわけで、武蔵坂学園の役に立ててほしいっていうのを建前に管理を僕らに丸投げしてきたってわけだねぇ」
蔵は敷地内に10前後、しかしここ以外の土地にも似たようなものがいくつかあるらしい。
何故こうも蔵ばかりなのか。
「でも、管理してくれるなら蔵自体は自由に使ってくれてかまわないんだってー」
土蔵は立派な土蔵造りであり一つ当たりの広さも申し分ない。
好きに使えるというのなら貸倉庫をはじめ個室などとしても使えるかもしれない。
「マイホームとまではいかないけど、自分専用の秘密基地って心惹かれなーい?」
格子越しに見る月を図案化した家紋。
それが掲げられた土蔵の前で宗介が悪戯に微笑んだ。
※身内クラブとして活動中