シルク・ドゥ・ガトー

地下に続く真っ暗な螺旋階段を延々と下りた先…
漸く辿りついた重い扉を開けると、そこは正しく『異空間』であった。

フェイクスイーツが揺らめくカーテンを潜れば、
赤いテントの猛獣たちが菓子-ガトー-を求め吠え、
回転木馬の仔馬が陽気な行進曲に乗ってユラユラと跳ねる。

黒い仮面のお姫様は、薔薇のコテージの中。
お菓子と紅茶を用意して、お茶会の同席者を今か今かと待っている。
そうして見つめた扉の先…仮面の口元がニタリと笑った。

『le cirque de gateau　――お菓子のサーカスへようこそ』

＊＊＊

ここは地下深くに作られた小さなサーカス小屋。
ヒナの好きな物を集めてみたら、随分と賑やかなお部屋になっちゃったの。
ねぇ、暫しの間、不思議なサーカスに酔ってみない？


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