武蔵野の住宅街にひっそりと佇む、旧い日本家屋。
今や住まうべき主は高齢のため、施設暮らしの身。
主が健在の頃は、この家も近所では少しは知れた武道場であったと云う。
朽ちるに任すは勿体ないと、『道場を再び興すこと』を条件に、この家を借り受けることとした。
俺たちは、強く在らねばならない。
──闇の手から、無辜の人々を護るために。
俺たちは、毅く在らねばならない。
──闇に堕ちる、その悲劇を防ぐために。
刀は、斬れるがゆえに、刀たり得るのではない。
納める、受け容れることが出来て──
鞘も在ってこそ、刀たり得るのだ。
──此処は、刃たる『武』と鞘たる『心』を研く『研道場』。
志を同じくする者であれば、武の別は問わない。
共に高め合える同志とともに、修練に励むことの出来る日を、心待ちにしている。
ああ、そうそう。
門を叩く前に、先ずは規約を一読願いたい。
面倒を掛けて申し訳ないが、宜しく頼む。