都会の喧騒から遠く離れた工業地帯の最奥。
自動生産、遠隔での操作・管理が進められる現代において
従業員は一人また一人とこの埋立地を追い払われ、
忙しなく煙を吐き出す煙突の数とは裏腹に
人の気はなく、空気は静止し、必然的に廃れていった。
とかいう事情は特に関係なく、浮浪者同然に生活している派手な格好の男が
放置されて長いスクラップヤードに勝手に住み着き、
俗世なんて知らん顔でその辺の鉄屑で遊んでいる。
回らない鉄の風車が目印。
今日も不恰好な見てくれに似合う音を立てて、嵐が来るのを待っている。
2013/夏-
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今も男は住んでいる。
変わったことといえば、時折風にあおられて回る風車くらいか。
望めばいつでも声は届く。時は変わらず流れているから。
2019/01/01
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次回更新19年3月
★K.Z〓