「赤い提灯をゆらゆら揺らしゆったりと進むおんぼろ屋台。
その実体は屋台拉麺屋に扮した秘密結社、などではなく
本当にただの神出鬼没な屋台拉麺屋である。
飯店と言いつつ品書は拉麺のみ。
鶏ガラベースの魚介の風味の薫る醤油スープに太縮れの麺、
具は叉焼一枚だけの外見に問題ありの通称闇拉麺、お値段ほぼ無料。
しかしたまに叉焼がビクビク跳ねる、たまに湯気に炎が混じるなど
叩けばキノコ雲の如き煙のたつ怪しさ大爆発の店だが、
目に映るものなどに振り回されず真実を見定める紳士であり、
偉人肖像と縁遠い財布の主人として目を瞑らざるをえない。他の者も同様であろう。
だが見てしまった、店主が(この後は汚れて読めない。)
―――ある学生の手記。」
いらっしゃいませお客さん、当店は千客万来がモットー。
他の方の邪魔をしなければ、誰でも歓迎いたします。
いえ御代は頂きません、欲しいのはお客さんの「話」だけ。
とりあえずまず、お品書きをどうぞ。