昔ながらの商店街に軒を連ね
年代物の商品を取り扱う小さな翫具屋。
蜜柑色の灯りを点す電笠照明の下
真空管ラジオから流るゝ往年の歌謡曲。
極彩色の翫具で埋め尽くされた雑多な店内は
間仕切りごとにカラフルな南京玉の暖簾が垂れ、
御面や独楽・鯉幟や紙風船などの展示品とともに
文化人形や錻力人形が所狭しと飾られている。
(奥の小上がりに座した小袖姿の娘が面を上げ、)
「まあ、ようこそお越し下さいました。
店主が留守の間この店を預かって居ります 十毬の孫娘チカに御座います。
大したおもてなしも出来ませんが、どうぞゆるりと御覧になって下さいませ。」