武蔵坂学園玉川上水キャンパスの美術室で、一匹の少女が絵を描いている。
壁一面に沢山のキャンパスがかけられ、床には支離滅裂な下書きが所狭しと散乱している。
彼女の彩る世界は「美」という認識から遠くかけ離れており、一貫性もまるで無い。
幼稚園児のラクガキの様にも見えるし、奇妙に交じり合った線と線が何かを痛烈に訴えかけてくる様に感じる事もある。
まるで夢日記の中に飛び込んだみたいだ。
普段は内側から固く閉じられている様だが、施錠を忘れるのか、時折扉が開いている事がある。
もしあなたが彼女の描く不思議な世界に興味を抱いたのなら、声をかけてみる事も不可能では無いだろう。
勿論、彼女があなたを歓迎するかどうかは別の話だが。
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