何年も使っていなかった離れを自由に開放していた、大正時代の和洋が混ざった様な屋敷の入口。
玄関には一言、こう書かれていた。
「喧嘩は法度」
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家主からは昔、こう伝えられていた。
「堅苦しい事は特に言わん、各々好きな事をするが良い。
交流を図るもよし、遊び耽るもよし、飲食も勿論自由だ。
なので私が食い物を集るのも許せ。
古い家ゆえに少し散らかっているが、それなりに寛ぐ事はできるだろう。
ゆっくりしていけよ。」
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2019/1 了。
先に旅経つ事、改めての別れの言葉を残さぬ事、此処へ思い出を綴じ残して行く事を許してくれ。
過去を振り返り記憶を傾けた時。皆と此処に在った事を、忘れずに居られる様に。
楽しかった。暖かかった。触れてくれた縁に、感謝を。いつも皆を愛していた。
社百合