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『不思議売ります』
石畳の坂道をゆっくり下ったところ。
分かれ道の角っこ。
お花屋さんのお隣にそのお店はありました。
蔦の絡まる小さな洋館。
お店としては似つかわしくないものですが、
扉に掛けられたプレートは確かにお店としてのもの。
好奇心に惹かれて扉を開けばベルがうたいます。
ここは不思議を売るお店。
名前のないものたちが、静かにその時を待っている場所。
誰かが忘れてしまった物語たちが眠る場所です。
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ようこそようこそ。
ここはおみせです。
なにかがあるかも。
なんにもないかも。
椅子がなくなってしまったので、またいつか。