ここは郊外、林の中。学園の敷地内。
少し街を離れて、木々の間を通り、小川を渡って。
そこに隠れるように建っている一軒のログハウスがあった。
今はもう住む人も居なくなったそこを、僕は見つけた。
学園から許可を貰って、僕はここを住めるようにしようと思った。
ほうきでほこりを払って、窓はふきんで拭いて。
高い所ははたきをかけて、暖炉の火種は新しくして。
そうそう、クモさんの家の引越しも忘れてはいけない。
そしてたまにここに来ては休んだり、本を読んだり、台所を使って料理の練習をしていた。
言うなればここは、僕の秘密基地だった。
いつからか、そこに新しくもう一人の姿を見ることが増えた。
気付けばゆっくりと、家具や食器、笑い声が増えていった。
それは例えば、雪が陽を受けて柔らかく溶けるように。
それは例えば、花が陽を浴びてさんさんと輝くように。
ゆっくりと日は進み、そして太陽はいつも君と僕を照らす。