~(22)地下歩行空間~
地下歩行空間の中間地点に建造された、巨大な水晶機械。
ノーライフキングにより建造されたと思われるその機械に、一人の大男が囚われていた。
奇抜な髪型のその大男の周囲には、何故か水晶機械を貫く程の勢いで、見た事も無い程の美しい花々が咲き乱れていた。
「この花々が、あの男のラグナロク能力……お前の主が求めていたのはこれか?」
六六六人衆
「黒鵺・零」が、傍らの巨大武者アンデッドに問いかける。
「否。あの男の能力『メイクアップ・パラダイム』は、主が求めし物の一面に過ぎぬ」
武光と呼ばれる武者アンデッドは、黒鵺の問に謎めいて返す。
黒鵺はそれに無言で頷きながら、己が立てた仮説の正しさを確信し、密かに呟く。
「(信じ難い話だが、やはり間違い無い。あの男こそが、王達の簒奪を免れた『美』を受け継ぐ者。あの力さえ手に入れれば……)」