■第6ターン結果
●巌流島牢獄
「得意の分裂増殖能力も、ネタ切れのようだね」
巌流島牢獄に攻め込んだ灼滅者の一人、月夜・玲(過去は投げ捨てるもの・d12030)は、かつては戦場を埋め尽くしていた佐々木・小次郎の残存分体を前に、挑発するように声をかけた。
佐々木・小次郎の残存分体はすでに初期の十五分の一まで落ち込んでおり、その数は刻一刻と減り続けている。
そして、分体の数が少なくなればなる程……、
「さて、名剣士たる佐々木小次郎。最後の勝負としようか」
佐々木・小次郎本体に辿り着く事も容易となるのだ。
「儂は負けぬよ。負けてなるものか」
玲を始めとする灼滅者の猛攻に、小次郎は、ジリジリと後退しつつ間合いをはかりつつ、反撃の機会を伺う。
戦場の勝敗は既に決していたが、小次郎が負けを認めることは無い。
それは、老人の妄執といえる勝利への執念であったろう。
だが、その妄執も、圧倒する戦力で攻め寄せる灼滅者の敵ではない。
「俺たちは、お前に似た能力を使うやつを知っている。そして、そいつを、俺たちは倒したんだ。だから、お前になんて負けてやる訳にはいかない!」
かつての強敵……あるいは元灼滅者を思い浮かべてか、灼滅者の攻撃が激しくなっていく。
「くッ……、このままでは」
たまらず、小次郎は地面を転がるようにして攻撃を避けるが、その体制を立て直す事もできず、次々と灼滅者の攻撃を受け続けることになる。
地に這いつくばり、命からがら攻撃を避ける小次郎。
それは、歴戦の剣士の姿としては無様というべきものだったかもしれない。
だが、小次郎の瞳にはまだ闘志が残っていた。
泥に塗れ無様に転げまわりながらも、小次郎はまだ、勝負を諦めてはいなかったのだ。
「フォォォォォっ!」
止めの一撃かに思われたリースリング・ヴァイングートのバスタービームを耐えきった小次郎は、泥臭い雄たけびをあげて満身創痍の体で立ち上がると不屈の闘志でもって、その長剣を閃かせたのだ。
「必殺、燕返し!」
その一撃は、文字通りの必殺の一撃となって戦場を席巻し、多くの灼滅者を薙ぎ倒し、少なくない数の戦線離脱者を出してみせた。
「さすがは、佐々木小次郎といったところね」
幸いにも燕返しの範囲に入っていなかった玲も、その威力に驚嘆の息をつき、続けて放ったグラインドファイアも、小次郎に避けられ、残念ながら実力の差を思い知らされた。
(「でも、一人でだめなら……」)
玲は、次の攻撃の切っ掛けを探して周囲を見回し、絶好の位置に、戒道・蔵乃祐がいるのを確認して目配せをした。
(「私に合わせて」)
(「了解」)
目と目で会話する、玲と蔵乃祐。
まずは蔵乃祐が、先ほど玲が放ったのと同じ間合い、タイミングで、グラインドファイア!を放つ。小次郎は、それを剣閃で相殺して見せるが、それは、玲の予測通りの動きでしかなかった。
「佐々木小次郎! 六六六人衆の殺人階位と共に滅びて貰うっ!」
蔵乃祐の攻撃を裁くために見せた小次郎の一瞬の隙、そこに、玲の狙い澄ました神霊剣が突き刺さったのだ。
驚愕の表情を浮かべる小次郎。
だが、自分の傷が致命傷である事を悟ると、抵抗を止め、玲のクルセイドソード『Key of
Chaos』に胸を貫かれたまま、着物の汚れを手で払い襟を整えて、自分の死を受け入れたのだった。
それは、剣士としての作法であったのだろうか。
最後まで剣士として戦い、剣で貫かれた佐々木・小次郎は、玲の目には、どこか満足げに見えたのだった。
「佐々木小次郎、あなたは確かに名剣士だったよ」
小次郎が消え去った場所から『Key of Chaos』を拾い上げると、玲は戦場を後にした。
ランキングマンとパラベラム・バレットの死を受け、六六六人衆に動揺が走る中、灼滅者達は着実に建御雷大老の灼滅へと迫っていく。
戦いの決着は、間近に訪れようとしていた。
→有力敵一覧
→(3)巌流島牢獄(4勝2敗/戦力100→0/制圧完了!)
→(4)太陽の神殿(0勝1敗/戦力1450→1450)
→(5)何でも屋ジョン・スミス(1勝0敗/戦力1350→1300)
→(6)ケツァール・リング(1勝0敗/戦力1050→1000)
→(7)アガルタの口(0勝1敗/戦力1300→1300)
→(9)プリズン・ケイオス(6勝3敗/戦力1650→1350)
→(11)建御雷祭壇(17勝2敗/戦力1700→850)
→重傷復活者一覧
→死亡者一覧
■有力敵一覧
戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。