グローバルジャスティス

    ■第7ターン結果

    ●烏天狗
    「アメリカンコンドル、いえ、烏天狗さん! 今こそ決戦の時です!」
     月影・木乃葉(レッドフード・d34599)は、長く続いたアメリカンコンドルとの戦いを終わらせるべく、戦場を突き進む。
     ゴッドモンンスターの戦いで相見えてから、既に4年以上。思えば長い因縁だ。
     だが、その因縁も、ここで清算されるのだ。
    「覚悟はいいですか、烏天狗さん!」
     木乃葉は、烏天狗に三鈷利剣・不動倶利伽羅を向けてそう宣言する。
     対して自らの戦場で敗北しつつも、グローバルジャスティスを護る為にこの戦場に立った烏天狗は、不退転の覚悟を見せていた。
     木乃葉達灼滅者の前に立ち塞がり、迎え撃つべく戦いを挑んで来る。
    「何度来てもゴーバックさせてみせるのデス。グローバルジャスティス様を守る、このファイナルラインは譲れまセーン! グローバルジャスティス様に栄光あれ!!」
     他の幹部達も全て敗れ去った。
     今、自分だけが、この戦場を支えられるのだ。
     烏天狗の瞳は絶対の忠誠を宿し、烈火の如く燃え上がる。
    「ネバーギブアップ!」
     グローバルジャスティスが封印されていた時代、世界のご当地怪人勢力を維持し続けた堅実な運営力と、卓越した戦略眼、そして、ここぞという時の実行力……その全てを使い、烏天狗は戦い続ける。
     星条旗の体は破れ、キンピカの装飾も煤け、最新鋭機のようだった翼もスクラップのように潰れつつある。
     だが、それでもなお、烏天狗は灼滅者達の前に立ち続けた。
     だが、灼滅者も負けてはいない。
    「くっ、ここまで来て、倒せないのですか……。すみませんが、あとは任せます」
     善戦していた木乃葉が、戦いの中に倒れても、後を託された仲間が奮戦し、周囲の怪人達の全てを灼滅し、烏天狗を孤立させ追い詰める。
     だが、烏天狗は決して諦めない。
    「ネバーセイダイ!」
     たとえたった一人となっても、勝ち続ければ勝利できる。
     その事を、アメリカンコンドルとして、証明した。
     ならば、同じことを烏天狗として示し続ければ良い。
     何度でも、何度でも、全人類ご当地怪人化儀式が完了するまで……。
    「ミーにはドリームがあるのデース。全人類ご当地怪人化儀式は、そのドリームのエンドポイント……。全ての人間がグローバルジャスティス様の下で平等である事が自明のトゥルースとなる、夢の終着点!
     絶対にジャマさせないのデース!!」
     満身創痍の烏天狗だが、その声には未来への希望と確固たる意志が宿っていた。
    「それはエゴだ! 烏天狗!」
     平・和守(国防系メタルヒーロー・d31867)は、そう言うと、戦場に立つ仲間と共に、烏天狗を取り囲んだ。
    「人を人たらしめるのは、その精神である魂だ。全人類ご当地怪人化は、その精神を殺し肉体をダークネスにする……ただの大量虐殺に過ぎない!」
     和守の言葉は、全ての灼滅者の意志でもあったに違いない。
     だが、その決意を、烏天狗の翼は切って捨てる。
    「こんな所で‥……」
    「もうだめなのです…」
    「ここまでか…くそっ」
     最終局面、戦場に立っていたのは6名。
     天狗翼斬の暴風により5名の灼滅者が散り、残ったのはたったの一人。
    「グローバルジャスティス様、ミーはやったのデス! このまま、あと1度、灼滅者をビートオフさせてみせましょう!!」
     烏天狗の勝利宣言が、戦場に響き渡る。

    ●グローバルジャスティス
     全人類ご当地怪人化儀式が完遂されるまで、残る時間はあと僅か。
     灼滅者達は持てる力を振り絞り、グローバルジャスティスの撃破にかかっていた。

    「ジャスティスダイナミック!!」
     グローバルジャスティスの念動力が、爆音すら伴い灼滅者達を叩き伏せる。
     何で出来ているのかすら分からない、不確かな地面から起き上がり、北条・葉月(独鮫将を屠りし者・d19495)はそのマスクで覆われた顔を見据えた。

    「あんたがラグナロクダークネスになってたら、今よりもっととんでもないことになってたのかもな」
    「そうかもしれないな。もしもの可能性は無限大だ。人類は分割統治されることすらなく、もっと早くサイキックハーツに至った私が、滅ぼしていたかもしれない。あるいは、剣樹卿アラベスク辺りと交戦し、早々に敗れていたかもしれない」
     全ては可能性だ。
     灼滅者達が全人類をサイキックハーツにする選択をしていなければ、今の局面も全く別の展開を見せていたかもしれない。
    「可能性を語るだけならタダか。けど、ダークネスが生殖可能にってのも十分とんでもないな。僅かな可能性に賭けたあんたもご当地怪人達も、相当なギャンブラーだぜ」
     葉月が伸ばした糸が、グローバルジャスティスの点滴に絡みついた。
     すかさず締め上げて切り裂くと、薬液が噴き上がる。
     グローバルジャスティスの後ろの機械が、激しく明滅する。
     だが、それも構わず、グローバルジャスティスはビームを放ち、こちらを倒しにかかって来る。
     ご当地怪人達に君臨する大首領として、彼らに恥じる戦いはできないという自負が、そこには漂っていた。
    (「戦い始めの頃には、素人じみた動きもあったが……」)
     隙がなくなっていく。
     ご当地怪人達の撃破によって力は徐々に弱まりつつあるはずだが、短時間のうちにグローバルジャスティスは戦闘技術を研ぎ澄まして来ている。
     灼滅者との交戦を通じ、サイキックを用いた戦闘に習熟して来ているのだ。
    「天才かよコイツ……」
    「ははは、私は万能だからね」
    「少しは謙遜しろクソジジイ!」

     かつてご当地怪人は、武蔵坂学園との間で協力関係を結ぼうとしたこともあった。
     だが、ダークネスが生殖可能になるという理想は、灼滅者達の望みとは相容れない。
     ダークネスが生殖可能になり、ダークネスだけになった世界。
     そこに『ダークネスに苦しめられる一般人』はもういない。
     だが、灼滅者達の望みは、そのために犠牲となる人々の存在を許せない。

    「君達は、感じているだろう。自らの身を支える、エスパー達の祈りを。
     私もまた感じている。
     苦しみからダークネスの力を求め、フィレンツェを見る者達の祈りを」

     ご当地怪人達の最後の1体を撃破した灼滅者達のサイキックが、グローバルジャスティスへと叩き込まれていく。
     念動力の障壁で、グローバルジャスティスはそれを防ぐ。

    「君達の理想は尊い。だが、私も、自らの夢を捨てはしない。
     故に、最後はどちらを殺すか、理想を実現してしまうことでしか戦いは終わらない。
     サイキックハーツ大戦とは、そういう戦いだ」
     言葉と共に、これまででも最大級の光が、『G』に収束していく。
    「やらせるかよ!!」
     その光が解き放たれるよりも早く、葉月は疾駆した。
     一足ごとに己の身を加速させていく葉月の意を受け、バベルブレイカーの杭がドリルのように高速回転する。
    「あんたの野望も、ここまでだ!!」
     バベルブレイカーから打ち出された杭は見えざる念動力の壁を、グローバルジャスティスの肉体を貫き、生命維持装置まで威力を貫徹させた。

    「そのサイキックハーツの力、いただいてくぜ」
    「勝者の権利だ。そうするといい」

     割れたマスクの向こうから覗く老いた瞳は、若人達への
     瑠架の時と同じように、グローバルジャスティスのサイキックハーツとしての力が、自分達に受け継がれたのを灼滅者達は感じ取る。

    「君達の理想の先に、人類がいかなる未来へと至るのか。
     それを見られないのは、少々残念だ」
    「じきに行ったら教えてやるよ。相当長生きしてんだろ、もう1世紀ぐらい待ってろ」

     葉月の言葉に苦笑を浮かべ、グローバルジャスティスの肉体は消えていく。
     彼がつけていた『G』のマークが足元に落ち、乾いた音を立てた。
     仲間達の方を振り返り──葉月はグローバルジャスティスの超生命維持装置から響く音声を聞いた。

    『大首領グローバルジャスティスの死亡を確認しました。
     ジャスティスベースの自爆カウントを開始します』
    「あのいい話ムードどこ行った……」
     葉月の口があんぐりと開いた。

    ●ご当地怪人の最期
    「あ、アァァァァァァ!!??」
     だが、戦場の勝利者たる烏天狗に、勝利の余韻に浸る間は与えられなかった。
     絶望の絶叫を迸らせ、彼は足元から砂となり崩れ去っていく。
     それは、サイキックハーツたるグローバルジャスティスの灼滅による影響であった。

    「グローバルジャスティス様! グローバルジャスティス様!
     地球よりもダークネスの未来を選びし至高の御方が……!
     グローバルジャスティス様! グローバルジャスティス様!
     あなた様がお隠れになるならば、ミーもお供を……。
     グローバルジャスティス様に栄光あれ!」

     絶叫と共に烏天狗が塵と消えた時、戦場に立つご当地怪人は誰一人いなくなる。

     殲術再生弾の力で立ち上がった灼滅者達は、傷ついた体を互いに支え合いながら、地上へと脱出した。
     フィレンツェの街に身を投げ出すようにして灼滅者達が脱出するのと時を同じくして、彼らの勝利を伝える報道が世界中を駆け巡っていく。

    『フィレンツェを包んでいた光が消えました!
     灼滅者(スレイヤー)の勝利です!!』

     やがて灼滅者達は、事態の収束を知ってフィレンツェに戻って来た人々の歓声に包まれることになった。

     だが、サイキックハーツ大戦は終わらない。
     エチオピアに向かっていた7G蘭の調査員から、新たなサイキックハーツの情報がもたらされる──。

    →有力敵一覧

    →(2)インドマハラジャ怪人(0勝1敗/戦力1740→1740)

    →(3)ミイラアヌビス怪人(1勝1敗/戦力960→830)

    →(6)インドゾウカレー怪人(0勝1敗/戦力1350→1350)

    →(12)グローバルジャスティス(24勝11敗/戦力1090→0/制圧完了!)

    →重傷復活者一覧

    →死亡者一覧

    ■有力敵一覧

    有力敵 戦功点 現状

    大首領『グローバルジャスティス』
    7600
    (12)グローバルジャスティス:Battle7にて、北条・葉月(独鮫将を屠りし者・d19495)に倒される。

    烏天狗
    1776
    (12)グローバルジャスティス:Battle35で戦い、同地域の制圧と共に姿を消す。

    戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。

    戦闘結果を取得しています。しばらくお待ちください。

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