他愛ない噂がある。
駅前、と一口で言えるギリギリの位置に建った、廃ビルの噂だ。
あのビルの一階と二階は、不良のたまり場にお誂え向きと言わんばかりに荒んでいるのに、何故だかここらの不良はあのビルにだけは寄り付かないのだと。
――ギターの音が聞える。遥か遠く。遠雷の様に。
君は雑踏の中で顔を上げる。
何気なく通りかかった、死んだはずのビルの三階に灯り。
行き交う人々はそれを気にもしない。
見上げた君を呼ぶように、旋律は加速する。
君にのみ聞こえているかのようなその音色は、もしかしたら君を導くパスポートなのかもしれない。
君は踏み込む。
階段の手前。
床に描かれた掠れたアートは、何とか「MUSICA」と読み取れた。
→Enter?
■概要:
・音楽探偵、という人達の巣
・RPクラブ。うすぐらいのから和やか雑談までなんでも
・常に自由であり、束縛されないものの集まり