街の喧騒を離れ、奥地へと至る道すがら
麗らかな川沿いにある明けた土地
建てられたのは、場所にそぐわぬ黒塗りの箱
分厚い曇りガラスの扉には……
“grace”
と、これまた似合わぬ単語が掲げられている
遮光された店内は、常に青白い室内灯の色に染まり
天へと伸びる白樺の樹がぼんやり照らし出されている
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人里離れた川沿いにあるしみったれたカフェよ。
内装は良いんだけどねぇ、外の見てくれがコレだから、お客はからっきし。
店長もユルい人間だから、バイトのアタシが好き勝手やってるってワケ。
今はまだ開店準備中でなぁんにも無いけど、それでも良ければいらっしゃいな。