或る港町の旧銀行。
青銅の看板の金文字は
"Baroque capital partners Co., Ltd."
「……名前が違う?大人の事情があるんだよ」
石造りの壁をブチ抜いて曇り知らずのガラスを嵌めて
キャララホワイトの階段の下
バカラレッドのソファを置いた。
これ見よがしのロビーラウンジの一階の隅にひっそりと、
"Lady & Co. ,Ltd. "
オブシディアンブラックのガルウイングをエントランスに羽ばたかせ
出入りするのは一人の女。
「で、お茶?コーヒー?
悪いけどただのペーパーだし本社じゃないし何もないし、」
要はそういうことらしい。
「何か、……そう、喫茶部みたいなものだから!」
……もてなしだけはやたら手際が良いようだ。
(ショップメイン、物好きさんは拒まない)