「とある場所に、龍がいるんですよ」
崩れ落ちた建物。
建築途中のビル、誰も気に留めない場所。
「そいつは紅の水晶を纏っていてですね」
そこに、龍はいた。
蒼の瞳、橙の天を突かんばかりの角。
「いつも、夕焼け空を眺めているんです」
龍が悲しむか?
龍が慈しむか?
「いやぁ、あの龍に限ってそれは無いんじゃないかな?」
だって。
あんなに冷たい体をしているじゃぁないか、と誰かが言った。
龍は呟く。龍は笑う。龍は囁く。龍は歌う。
犠牲。2人。愛。憎悪。嫉妬。友情。絆。
赤。蒼。液体。歌。別れ。
闇。
……そして、命